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泉澤V弾!苦しんだ王者・阪南大「デカい」1勝:関西1部

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[5.6 関西学生リーグ1部第6節 阪南大1-0立命館大 太陽が丘]

 第91回関西学生サッカーリーグ1部は6日、第6節を行い、首位の阪南大は全日本大学選抜FW泉澤仁(4年=新潟ユース)の決勝ゴールによって立命館大に1-0で勝利。首位を守った。

 苦しい戦いだった。それでも負けなかった。全日本大学選抜DF二見宏志(4年=奈良育英高)は「内容は悪かったですけど、自分たちの中でもさっきロッカールームで『きょうの勝ち、デカイよな』という声が出ていた。勝ち切るということにみんなこだわっている。ラッキーもあったんですけど勝ち切ったことはデカイです」と胸を張った。

 前節、大阪体育大との首位攻防戦を3-1で制して首位に浮上した阪南大だが、この日は荒れたピッチと立命大の堅い守り、カウンター攻撃の前に苦戦を強いられた。前半10分にFW工藤光輝(4年=札幌U-18)が右足シュートを放ったが、この後はなかなかシュートまで持ち込むことができない。泉澤と工藤の強力ストライカーコンビを擁し、ここまでの5試合で22得点を挙げている阪南大だが、右サイドでポイントをつくりながらも、単調な攻撃で相手の背後を取ることができず、前半はシュート3本に終わってしまう。

 対して大型ボランチ、MF谷口智紀(3年=滝川二高)を中心に攻める立命大は、谷口のミドルパスやMF高野登志基(1年=野洲高)のラストパスにFW森川裕基(3年=洛北高)やFW広住祐也(4年=広島皆実高)が飛び出していく。そしてカウンターから決定機もつくり出した。前半19分にはDFラインの背後へ送られたロビングに対して飛び出したGKが処理を誤り、これを拾った森川が決定的な右足シュート。ただ、GK不在のゴールへ飛んだボールはクロスバーを直撃し、先制することができない。立命大は33分にもカウンターから森川のラストパスで抜け出したMF江口貴俊(3年=F東京U-18)が右足を振りぬくが、ボールは枠を外れていった。

 阪南大はCB香川勇気(3年=滝川二高)や二見のカバーリングとCB永井鷹也(4年=磐田ユース)の高さが相手の攻撃をストップする。立命大・谷口のピンポイントのスルーパスに脅かされる場面もあったが、得点を許さずにチャンスを伺う。そして21分に投入されたFW外山凌(1年=前橋育英高)の突破が先制点につながる。23分、左オープンスペースへ飛び出した外山がDFを振り切って一気にPAへ侵入。左足で押し込もうとしたシュートは立命大GK岸上和樹(4年=立命館宇治高)の好守に阻まれてしまったが、左サイドでクリアボールを拾った二見が中央へ折り返すと、エースFW泉澤が左足ダイレクトでゴールへ突き刺した。

「相手の状態を見たら必死だったので、ニアで勝負するよりも、一歩引いて足下でもらうようにして、あとは当てるだけ。クロスも良かったですし、今練習している左足の成果が出て良かったですね」と泉澤。エースの値千金の一撃が試合を動かした。待望の1点を奪った阪南大は完全に主導権を握って攻め続ける。先制点の直後には右サイドからMF江坂巧(1年=神戸弘陵高)が放った一撃が左ポストを叩き、37分には全日本大学選抜MF窪田良主将(4年=東京Vユース)からの絶妙なボールを二見が頭で合わせるなど、後半だけでシュート10本を放って押し切った。

 阪南大は大宮や新潟などJ4クラブが争奪戦を繰り広げている泉澤や仙台などが熱視線を送る二見をはじめ、窪田、工藤、MF可児壮隆(4年=川崎F U-18)ら主力の多くがプロ入り候補に挙げられている。関西屈指のタレント軍団は昨年、関西1部リーグと総理大臣杯全日本大学トーナメントを制したが、年末の全日本大学選手権(インカレ)は準決勝で福岡大に逆転負け。今年は夏冬連続の全国制覇、加えて天皇杯でJクラブを撃破することも目標に掲げている。

 ただ戦力揃う今年も課題はある。開幕2試合で計15得点を挙げたものの、開幕3戦目の大阪産業大戦は2-3で逆転負け。泉澤は「いい時と悪い時の差が激しい。いい時は強い阪南だと思うけれど悪い時はダメになってしまう。昨年も夏だけ良くて、冬はああいう形になってしまった。今から変えていかなければいけない」と引き締める。この日も非常に苦しい試合だった。窪田は「今は関西リーグでもいっぱいいっぱいの試合が多くて、実際に大産大戦のように、相手に凄く気持ちを持ってこられた時に負けちゃったりとか、今のままでは全国大会やJ相手には厳しいかなとボクは思います」と首を振る。

 それでもチームの成長も感じている。「今までだったらこういう悪いピッチでは勝ち切れないというのが、ボクが1年、2年、3年の時結構多かったんですけど、今年はしっかりと勝てたことは成長できているのかなと思います」と窪田。終盤も単騎、相手を追い回していた主将は「技術的にはみんないいものを持っているので、球際のところで負けない気持ちだったり、守備で弾いてセカンドボールを拾うとか上手いし戦えるチームになれば、もう1ランク上に行けると思います」。今後も苦戦する試合は間違いなくあるだろう。だが、どんな試合でもしぶとく勝ち続けることでチームの進化を示す。

(取材・文 吉田太郎)
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