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先制点のJ選抜FW佐藤「希望の灯を消さないように」

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[6.16東日本大震災復興支援スペシャルマッチ JリーグTEAM AS ONE2-1Jリーグ選抜 国立]

 流れるようなパスワークから、先制点を決めた。16日に行われた東日本大震災復興支援スペシャルマッチで、即席チームであるJリーグ選抜が挙げた先制点は見事だった。ゴールの起点となるパスを送ったFW原口元気(浦和)は、「初めてやる選手たちですけど、ああやってコンビネーションができたのは、非常に質の高い選手たちが集まっているからこそできたと思いますし、見ている人も気持ちの良いゴールだったんじゃないかなと思います」と、胸を張る。

 MF柿谷曜一朗(C大阪)から原口へボールがつながり、原口の折り返しをFW佐藤寿人(広島)が一度スルー。その先でボールを受けたFW豊田陽平(鳥栖)が、最終ラインの裏に走り込んだ佐藤にピタリと合わせると、昨季のJ1得点王は確実にゴールネットを揺らした。

 日本代表がコンフェデレーションズ杯に参加しているなかで見せた、意地のゴールだ。「国内組も、Jの選手もやれるんだっていうことは、少なからずみんなプライドがあったと思う」と、佐藤は言う。原口とMF小笠原満男(鹿島)が、スペシャルマッチとは思えないような、激しいぶつかり合いを見せる場面もあった。それぞれがサッカー選手として、被災地のために、被災していない人々にも震災が起きた事実を思い起こしてもらうために、懸命に体を張って戦った。かつて自身も仙台で生活をしていた佐藤は言う。

「(被災地は)忘れられることが何より怖いと思うんです。ニュースでは、少しずつ(被災地の状況を)目にしなくなって、現状が分からなくなる。一番はやっぱり現地に足を運び、現地の人たちの声を直接聞くことが大事だと思う。僕らは選手なので、やっぱり一番できることは一緒にボールを蹴ること。東北でもサッカーを頑張っている、夢を持っている子がたくさんいると思うので。そういう子供たちの希望の灯を消さないように、しっかり夢を与え続けられるようにやっていきたいと思います」

 41,246人を集めたチャリティーマッチは、震災について再考する一つのきっかけになったはずだ。これをきっかけに、一人ひとりがどう震災と向き合うかが、大事になっていく。佐藤自身も、決意を新たにした一人のようだ。

「本当に(復興は)10年、20年という長い時間が必要なものだと思うので。サッカー界はこういう活動を継続して行えるように。そのためには選手だけでは難しいですし、リーグだけでも難しい。本当に多くのファン・サポーター、全員でこういう活動をしていかなければいけない。もちろん選手がピッチの上でしっかりしたプレーをしないと成り立たないと思いますので、また、こういった場をつくっていけるように、しっかりJリーグを盛り上げていきたいと思います」

(取材・文 河合拓)

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