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[豊田国際ユース]U-16日本代表、完敗でV逸……「世界大会じゃなくて良かった」

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[8.11 豊田国際ユース最終節 U-16日本代表0-2 U-16メキシコ代表 豊田]

「主導権を取れるメンタリティーがない。地元でやっているのに消極的。できる、できないじゃなくて、やろうとするかしないかだ」――。試合後、指揮官からは厳しい指摘が飛んだ。第14回豊田国際ユースサッカー大会は11日、豊田スタジアムで最終日を行い、U-16日本代表は0-2でU-16メキシコ代表との全勝対決に敗れて優勝を逃した。大会は、3戦全勝のU-16メキシコ代表が優勝。2勝1敗のU-16日本代表は2位。3位がU-16名古屋グランパス・愛知県・豊田市選抜、4位がU-16クウェート代表という順位となり、小学生時代から地元の名古屋グランパスで育ち、U-16日本代表の主力FWとして活躍したFW杉森考起(名古屋U18)がMIP賞を受賞した。

 2連勝で最終日を迎えた日本だったが、厳しい現実を突きつけられた。この日は序盤からメキシコに押し込まれ、奪った後のビルドアップでも苦戦した。ベンチからは吉武博文監督の「裏を取れ」という声が何度も飛んだが、相手に狙いを読まれたショートパスの交換が繰り返され、なかなか敵陣へ進むことができなかった。また、守備面でも横幅を広く使って大胆なサイドチェンジを仕掛けて来るメキシコに振り回された。36分、メキシコはFWディエゴ・デ・ヘススアギラール・ジャミンが左サイドを突破。食いついた日本の守備網をあざ笑うように縦パスを送ると、直前に投入されたばかりのFWホセ・ルイス・チャベス・ノボアがGKとの1対1を制して先制した。

 日本は後半に向けてハーフタイムで3人を交代したが、試合再開直後の2分にあっさりと守備ラインの裏を使われ、追加点を奪われた。その後は途中出場のMF佐々木匠(仙台ユース)が藤川虎太朗(鳥栖U-18)とのコンビネーションで左サイドを突破するなど見せ場は作ったが、メキシコの逆襲に脅かされ続ける時間帯でもあった。終盤、地元の歓声を受けて杉森がシュートチャンスを迎える場面もあったが、結局メキシコのゴールを割ることはできなかった。完敗と言って良い内容だった。

 今回のU-16日本代表メンバーは97、98年生まれで構成されており、彼らは10月開幕のU-17W杯に出場するU-17日本代表候補でもある。世界大会には96年生まれを加えて臨むが、大会開幕を2か月後に控えた今回、世界で戦うことの厳しさを改めて痛感する結果となった。吉武監督は「サッカーはきん差のスポーツ。強豪と呼ばれるブラジルやスペインでも(大差の試合ばかりではなく)1-0で勝つ。力の差があるからといって、5-0とか10-0になるスポーツではない。だからこそ、やってはいけないプレーをやってはいけない場所でやってはいけない。0-1なら悪くないと言いたいが、後半の立ち上がりに失点するなんて、何年サッカーをやっているのか。これは(このチームだけでなくて)日本全体の問題だけれど。これを良い教訓にしてもらって、少しでも成長して良いパフォーマンスの試合を出来ればと思う。今回が世界大会じゃなくて良かった。この失敗を生かしてほしい」と厳しい評価を下しつつ、今後の奮起を促した。

 良薬は口に苦し、だ。選手には感じるところがあったようだ。MIPを受賞した杉森の表情には、準優勝や個人表彰の喜びはなく「(勝てば優勝の決まる)“決勝”で点を取れなかった。相手のマークを外す技術などの差が出ている。チームとしてできるようになっていかないといけないので、意識してやっていきたい。個人的にもU-17ワールドカップに出られるようにするため、1日1日アピールをしていきたい」と反省の弁が口を突いた。U-17日本代表は今後、国内合宿を行った後、チェコ遠征を行う。その後は9月、10月に国内合宿で調整し、10~11月にUAEで行われるU-17W杯に臨む。

(取材・文 平野貴也)

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