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ゴールも笑みなし、香川「立て続けの2失点はこたえた」

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[8.14 キリンチャレンジ杯 日本2-4ウルグアイ 宮城ス]

 笑み一つなかった。0-3の後半9分、ゴール前のこぼれ球を押し込んで1点を返したFW香川真司(マンチェスター・U)は終始、厳しい表情だった。

「ゴールに関してはごっつぁん。その前に3点取られたのがもったいない。相手も3点取って(集中が)切れていたと思うし、(ゴールは)評価しづらい。その前が問題」

 ゴールを喜ぶことなく、大量失点を悔やんだ香川が問題視したのが前半の2失点だった。前半27分、マイボールのスローインから1本のロングボールで裏を取られ、先制点を献上。その2分後には直接FKを決められた。

「前半、立て続けの2失点はこたえたし、イージーな失点だった。裏に1本で行かれた。それまではお互いにいい戦いをしていたと思うし、あの失点がもったいなかった。かと言って、守備的に戦うのはスタイルじゃない。攻撃的に行く中で簡単な失点はもったいないし、2、3分で2失点は痛い」

 後半7分に3失点目を喫すると、香川のゴールで1点を返したあとにも4点目を決められ、最終スコアは2-4。計9失点で3戦全敗に終わったコンフェデレーションズ杯の再現を見ているかのようだった。

「失点数が多いのは常に課題だし、何かしら問題があるのは分かっている。ボールを保持して攻めに行く姿勢を持ち続けた中で失点しているのが現状。次に向けて考えていかないといけないことだと思う。もっとハードワークが求められるのかもしれない」

 前線から積極的にプレッシャーをかけ、できる限り高い位置でボールを奪って速攻を仕掛ける。中盤のボール回しからサイドを使って相手を崩していく攻撃サッカーの裏返しとして、最終ラインの背後に生まれるスペースや中盤でのミスが決定的なピンチにつながるリスクとは常に隣り合わせにある。

 世界で勝つためには、自分たちのスタイルを捨て、2010年の南アフリカW杯のような守備的なサッカーに転換するべきなのか。香川は逡巡するような表情を浮かべながらも、今のサッカーを貫いた先に光も見えているようだった。

「ブラジルみたいな相手には守備的に入ってということもあった。ウルグアイとやってみて、中盤では必ずボールを回せる感覚はあるから、余計に行けるんじゃないかと思う。イタリア戦、メキシコ戦もそうだった。でも、その中で先に失点したり、ちょっとしたミスで失点することが続いている。自分たちのサッカーを確立させていかないといけない。ボールを失う感覚はなかったし、前半からもっと左でボールを要求していければよかった」

 後半のサッカーには手応えもあった。チャンスはつくれる。依然、決定力に課題は残すが、点も取れている。しかし、これだけ失点がかさめば、勝つのは難しい。ブラジルW杯まであと10か月。日本代表が“世界の壁”に直面している。

(取材・文 西山紘平)

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