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2度目のMVP受賞に6度の「ありがとう」で応えた中村俊輔

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 Jリーグは10日、横浜アリーナで「2013Jリーグアウォーズ」を開催した。最優秀選手賞(MVP)には横浜F・マリノスのMF中村俊輔が選ばれ、2000年以来13年ぶり2度目の受賞を果たした。同一選手による2度目のMVP受賞は史上初のこと。

 2度目の栄誉に輝いた中村は、「Jリーグ、ならびにJクラブのスポンサーのみなさま、この場をお借りして御礼申し上げます」と、切り出した。そして「今、私の感情の中に、二つ気持ちがあります」と続ける。

「一つ目は、素直にうれしいということ。2つ目は、感謝の気持ちです。今日、優秀選手の中に、マリノスの選手が自分を含めて10人いました。このことからもわかるとおり、優秀なチームメイトにサポートされて、この賞をいただけたのだと思います。チームメイトには本当に感謝しています。ありがとうございます。監督、コーチ、チームスタッフの方々、トレーナーの方々、マリノスにかかわるすべての方々にも支えられて、サポートされて、この賞をいただけたのだと思います。本当にありがとうございます。そして、サポーターの存在です。9月21日のホームの試合(清水戦)で、横断幕を見ると、私個人へのメッセージの入ったものを見ました。本当に、感動しました。あのことは一生忘れないと思います。本当にありがとうございます」

 横浜FMの関係者、そしてファン・サポーターに感謝の言葉を送った中村は、さらに2011年に亡くなったDF松田直樹の存在の大きさを口にした。

「そして、松田直樹さんの存在です。彼なしに今の自分はいないと思っています。前橋のほうに、良い報告ができると思います。ありがとうございます」

 20年のJリーグの歴史の中で、初めて2度目のMVP受賞を果たした中村だったが、彼自身はMVPにふさわしい選手が、別にいると考えていたことを明かした。「まことに勝手ですが、私の中でのMVPを言わせていただきます」と言い、「チームメイトの中澤佑二選手です」と続けた。そして、背後にいる中澤が「もっと言え」とジェスチャーで促す中で、その理由を説明した。

「彼のここ数年のプレーを見ても、この賞にふさわしいと思いますし、サッカーに対する情熱、日々のトレーニングの姿勢。若い選手に限らず、自分にも刺激を与えてくれています」

 そして、「お手数ですが、みなさん。彼にも盛大な拍手をお願いします」と、会場に集まったファン・サポーターに拍手を促した。MVPの感謝の言葉は、まだ続く。

「そして家族の存在です。海外生活が長かったですけど、それを含めて、良いときも悪いときも、一緒に壁を乗り換えてくれた妻に感謝の気持ちと、この賞を捧げたいと思います。一緒にいて、いつも笑顔になれる4人の子供たちにも感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます」

 そして、初めてMVPを受賞したときと変わらぬ思いで、今もプレーし続けていることを示すかのように、当時と同じ言葉でスピーチを締めくくった。

「最後になりますが、13年前、この場所で言わせていただいたことを繰り返して、締めさせていただきます。これからも、この賞に恥じぬよう、良いプレーをし続け、サッカー界に少しでも貢献できたらなと思います。本日は、本当にありがとうございました」

(取材・文 河合拓)

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