beacon

[大学選手権]強力2トップ負傷退場も交代出場の福田、田中ゴール!国士舘大が14年ぶりV王手!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.22 大学選手権準決勝 国士舘大2-0鹿屋体育大 味フィ西]

 第62回全日本大学サッカー選手権は22日、味の素フィールド西が丘で準決勝を行い、第2試合では国士舘大(関東4)が2-0で鹿屋体育大(九州1)に勝利。02年度以来11年ぶりの決勝進出を果たした。国士大は99年度以来14年ぶり5回目の優勝を懸けて25日の決勝(国立)で大阪体育大(関西2)と戦う。

 9月以降の公式戦成績は10勝4分1敗(試合開始前時点)。現在、どの大学チームよりも勢いのある国士大がJ内定5選手を擁した阪南大、総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント優勝の流通経済大に続いて九州王者の鹿屋体大も打ち倒した。それもこの日はFW平松宗(3年=新潟ユース)、FW新村武玄(4年=東京Vユース)という強力2トップが揃って負傷退場しながらも、代わって1トップに入ったFW福田真也(4年=日本航空高)と交代出場でトップ下に入ったMF田中智也(1年=横浜FMユース)のゴールによる勝利。主将の右SB石川喬穂(4年=広島皆実高)は「アイツらならやってくれると思っていた。後ろがゼロで抑えていれば、90分通して1点は絶対取ってくれると思っていた。普段の練習でもサブの選手が気持ち切らさずにスタメンで出てやろうと思ってやってくれている。紅白戦でも(サブ組に)負けることが多い。誰が出てもできるというのが国士の現状で、出た選手が必ずやってくれると信じている」

 田中に言わせれば、「紅白戦で『自分が刺激入れてやろう』っていうくらいじゃないと(今の主力組と戦っても)相手にならない。本当に強いっすよ。勢いがある」というほど現在の国士大の主力組は強いという。結果を出し続けている主力組と、どこよりも勢いに乗っているチームを紅白戦で叩くほど、情熱を持って取り組んでいる「強い」サブ組。関東1部最下位だった前半戦からチーム全体で巻き返してきた国士大は「国士は誰が出ても勝つ」と印象づける戦いで決勝へ駒を進めた。

 立ち上がりはともに縦に速い攻撃を仕掛け合う展開。ただ、両チームのCBが前に強いこともあり、ともにPA前で跳ね返されてなかなかチャンスをつくることができなかった。その中で国士大は12分にインターセプトした全日本大学選抜CB仲島義貴(2年=神戸U-18)が意表を突く超ロングシュート。14分にはMF橋本拓門(4年=柏U-18)の右FKを流経大戦先制ゴールのMF佐々木陸(3年=東福岡高)が頭で合わせる。

 一方の鹿屋体大は17分、ドリブルにキレのあったMF小谷健悟(3年=神村学園高)がDF2人をかわして左足シュートを放つ。時間が経過するにつれてボールを握る時間を伸ばしたのは初の決勝進出を狙う九州王者。MF福田晃斗(3年=四日市中央工高、サガン鳥栖特別指定選手)と全日本大学選抜MF中原優生(2年=佐賀東高)を軸にボールを支配して国士大の守備ブロックを切り崩しにかかった。

 ただ、国士大の守りは堅く、鹿屋体大は揺さぶりの途中でミスが出て攻め切れない。35分に右サイドをドリブルで攻略した小谷のラストパスを中原が右足で合わせたシーンがあったが、これは枠を捉えず。ただ、国士大も前半は無得点で終える。32分に左サイドから切れ込んだMF進藤誠司(3年=流通経済大柏高)が放った左足シュートはGK吉満大介(3年=神村学園高)に阻まれ、40分にDFと上手く入れ替わった新村のスルーパスはCB代田敦資(4年=前橋育英高)にギリギリのところでカットされた。

 後半はさらに鹿屋体大の攻撃時間が増える。前半27分に平松、後半11分に新村がともに負傷退場した国士大は前線でボールがおさまらず、なかなかシュートエリアに入って行くことができない。逆に鹿屋体大は幅を広く使った攻撃から決定機の数も増やしていった。16分、17分と立て続けに右SB粕川正樹(4年=前橋育英高)から決定的なクロスが入ると、29分にはDFラインの背後を取った小谷が強烈な右足シュート。だがこれはGK久保田晃次(3年=清水ユース)の正面をついた。鹿屋体大は再三PAまでボールを運ぶものの、ゴール前に立ちはだかった「国士の白い壁」。福田が「最後のところで身体張れるのが国士の強み。五分のボールには国士の選手が先に出る。流れが悪い時でも点を取られない強さはあると思う」と信頼を寄せる国士大守備陣が1点も与えず。ボールを支配し、チャンスもつくった鹿屋体大だったが、この日はPAで仕事をする選手がいなかった。

 逆に39分、相手の攻撃に耐えた国士大が、サックスブルーに染まった応援団の目の前で先制点を挙げた。橋本が右サイドで相手ボールを奪うと、素早く前線へ入れる。ニアサイドへ走りこんだ福田がDFのスライディングタックルを受けながらも「国士は球際とかが練習から激しいので、慣れていた」と粘って前に出ると、そのまま右足シュート。これがゴールへ突き刺さって国士大がスコアを動かした。18分に迎えたビッグチャンスを決めきれなかった福田の「今度こそ」の念も強く込められた一撃。これでリードを奪った国士大はさらに43分、クリアボールを拾った田中が「自分でもビックリしました。イメージどおりというか、イメージとそのまんまでしたね」とGK頭上を射抜く鮮やかなミドルシュートを決めて接戦を制した。

 主力2トップが負傷退場する中、緊急出場した2人のゴールで日本一に王手。9月から始まった国士大快進撃の勢いに翳りは全く見られない。悪い流れの試合でも最後に勝ち切る強さがある。今大会開幕前、主将の石川はトップチーム全員に紙を渡し、「インカレ優勝」と書かせて部屋の見えるところに貼らせたという。全員が掲げてきた目標まであと1勝。12月25日、改修前「最後の国立」でその目標を達成する。

[写真]後半39分、福田の先制ゴールを喜ぶ国士舘大イレブン

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク

第62回全日本大学選手権特集ページ

TOP