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[AFCフットサル選手権2014]デビュー戦3ゴールのFP中村「小さいからといって、諦めないでほしい」

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[5.1 AFCフットサル選手権2014 GL第1戦 フットサル日本代表12-0フットサル韓国代表 ホーチミン]

 身長は154センチ。小柄なアタッカーが、大きな輝きを放った。2点をリードして迎えた前半13分、初めて国際Aマッチの舞台に立ったFP中村友亮(アグレミーナ浜松)は、その3分後に1点目を記録。後半13分にもFP西谷良介からのパスに対し、ゴール前に走り込み、ファーポスト前で合わせる『ファー詰め』の形でゴール。同18分にもFP渡邉知晃のシュートがGKに防がれたところを押し込み、ハットトリックを達成した。チームも12-0という快勝を収め、これ以上ないスタートを切ったと言えるだろう。

 ミックスゾーンに現れた中村は、充実の表情だった。「結果的にはよかったかなというのはありますね。僕自身、国際大会というか、こういう大会は初めてなので、そういう中で点を決められたので良かったです」と、試合を振り返る。普段から緊張することは少ないというが、同時に「他の経験ある選手たちがすごく良い雰囲気をつくってくれていたので。前半途中から(の出場)でしたが、入りやすかったです。みんなも声を掛けてくれたし、やっぱり初めてっていうのもあって、出ているときも周りの人たちが気を使ってくれてサポートをつくってくれていたので、すごいやりやすかったですね」と、チームメイトへの感謝を忘れない。

 3月のスペイン遠征で初めて日本代表に招集された中村だが、約1か月以上の期間、意識的にチームメイトの特長をつかもうとしていたという。その結果が、3得点に現れた。星のシュートのこぼれ球を押し込んだ1点目、渡邉のシュートのこぼれ球を押し込んだ3点目に、その成果は出ている。

「(ピヴォに)ボールを当ててから、(昨季まで所属の)大分では、あそこからあまりシュートを打たないのですが、やっぱり(星)翔太さんが打つことを信じて、前にちょっと出ていたら、良いこぼれ球が来たので。3点目もトモ(渡邉知晃)がターンしたので打つだろうなと思って、詰めていたら本当にどフリーで僕の前にボールがこぼれてきたので」

 スペイン遠征や名古屋合宿で、星や渡邉がDFを背負ってからも打ち切る力があることを把握し、躊躇なくゴール前へ飛び出すことができるようになったという。星や渡邉といったピヴォの選手にとっても、『打てば何かが起こる』とより強く意識できる相乗効果がありそうだ。

 静岡学園卒業後、中村はJリーグのヴィッセル神戸でもプレーした。その後、FC琉球へ移籍し、JFLでは80試合に出場、6ゴールを記録している。2011シーズンからフットサルに転向し、バサジィ大分で3シーズンに渡ってプレーし、館山マリオ前監督の下で基礎を叩きこまれ、昨シーズンの飛躍につなげた。

「神戸に入った時から、代表のユニフォームは着たいとずっと思っていたので。それでフットサルに転向して、Fリーグの選抜で最初にブラジル代表とやらせてもらったときに、漠然とした目標だったのが、明確な目標に変わりました。それで本当に代表に入って、こういう大会で日の丸を付けてやりたいと思っていたのが、今回、こうして日の丸を付けてやれたので。自分にとってはフットサルに転向して良かったかなと思います」

 2020年に名古屋でのフットサルW杯開催が決まれば、フットサルをプレーしようと思うJ経験者は増えるかもしれない。その先立ちといえる中村は、同時に自分と似た体格の選手たちの希望にもなりたいと話す。

「僕の場合は体もすごく小さいので。日本でも、今サッカー、フットサルをやっている小さい選手もいると思うのですが、そういう選手にも『小さいから』といって、諦めてほしくないので。こういう舞台で、点も取れたので、そういうところをどんどん見せて行きたいです」

 小さな体に、大きな野心を詰め込んで、中村は今日も全力でピッチを駆ける。

(取材・文 河合拓)

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