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[クラブユース選手権U-18]連覇を狙う横浜FM、派手な打ち合い制してGL全勝:関東

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[6.15 日本クラブユース選手権(U-18)関東2次予選 三菱養和SCユース 4-5 横浜FMユース 巣鴨]

 夏のクラブユース日本一決定戦「第38回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会」の関東2次予選は15日にグループリーグ最終日を迎え、Aグループは昨年の全国覇者である横浜F・マリノスユースが5-4で三菱養和SCユースを下し、5戦全勝で首位通過を決めた。

 試合は激しい打ち合いとなった。三菱養和は、ピッチの幅を広く使う3-6-1の布陣で、大胆なサイドチェンジから好機を作った。試合開始わずか1分50秒、DF池田樹雷人が左足で対角線上にロングパスを放つと、右ウイングの相馬勇紀がカットインを図り、ファウルを受けてPKを獲得。相馬が自ら決めて、三菱養和があっさりと先制した。しかし、11分には横浜FMのFW和田昌士が左サイドのスローインを受けると、難なくシュートを突き刺して同点とした。

 試合はその後も落ち着かなかった。18分、三菱養和は先制点と同じ形でゴールを物にした。左ウイングの高橋瞭斗が対角線上に振ったロングパスを相馬が右足のダイレクトボレーで豪快にたたき込み、再び勝ち越し。ところが、そこから1分も経たないうちに、今度は横浜FMのFW中杉雄貴がミドルシュートを決めて、またも同点となった。

 横浜FMは、サイドで起点を作った後のバイタルエリア攻略が利いていた。23分、肉離れによる戦線離脱から復帰したばかりの左MF田崎遼太郎が縦に仕掛けながら中央へパス。ゴール正面で受けた右MF遠藤渓太が勝ち越し点となる3点目を決めた。その後、前半で唯一「ゴールの生まれない10分間」が過ぎたが、33分には三菱養和が右サイドからのFKのこぼれ球を池田が振り向きざまのダイレクトミドルを力強く振り抜いて3-3の同点とした。

 前半だけで合計6点が生まれるほどの攻め合いは、後半も続いた。3分、三菱養和は左から斜め前方に送ったパスをFWディサロ燦シルヴァーノがボレーで狙う。7分には左ウイングの高橋がGKとの1対1を迎えたが、決めきれなかった。対する横浜FMは22分、中央、左、右と相手を揺さぶり、最後は右を縦に破ってからのクロスを投入されたばかりのMF西浦英伸が押し込んで4-3とリードを奪った。

 しかし、試合のペースは一向に落ち着かず、打ち合いが続く中で三菱養和が盛り返した。左右からのアーリークロスで再三にわたって横浜FMゴールを急襲。そして40分、ツーシャドーの一角を担うMF下田悠哉が左に展開し、高橋がアーリークロスを送ると、ニアへ走り込んで相手を振り切ったディサロがヘディングシュートを合わせて4-4の同点とした。終わらない点取り合戦にピリオドを打ったのは、横浜FMだった。アディショナルタイム、右サイドの攻略から最後はドリブル突破を図った田崎が相手のファウルを誘ってPKを獲得。自ら決めて5-4とし、粘る相手を振り切った。

 連覇を狙う横浜FMは、グループを全勝で駆け抜けた。攻撃力には定評があり、課題は守備とゲームコントロール力だ。ただ、CB斉藤海長田健、ボランチの佐藤陸、長倉颯といった昨季の主力が残っており、この日先発したボランチの小松駿太は昨年の国体優勝メンバー(東京都で出場)。GK田口潤人もU-19日本代表候補で個々の実力は十分。連係面でまとまれるかどうかがポイントとなる。今季から指揮を執っている阿井達也監督は「今日は試合内容を良くすることと勝って首位通過をしようと話して臨んだ。失点ゼロを目標にしていたのに、前半のうちに3点も取られた。最後の失点も大きなミス。相手がかなり良いシュートを打っていたけど、その前の段階でどうなのかが課題。特に個の1対1で緩い部分があるように思う」と守備を中心に見直しが必要だと指摘。手綱を緩めることなく、チームと個の底上げを図る気概を示した。

 目指すのは、連覇のみだ。主将の佐藤陸は「昨年、先輩たちが優勝した大会なのでモチベーションは高い。(準決勝と)決勝が横浜で行われるということも、みんなが意識しているので、高いモチベーションで勝ち続けられているのではないかと思う。僕自身は昨年は関東予選で(ひざの)半月板を負傷して、全国大会には出られなかった。小学3年のときからマリノスにいるけど、まだ自分が出場して全国優勝をしたことがない。最後の年で結果を出したい気持ちは強い」と全国制覇にかける思いを語った。再びハマの旋風を巻き起こせるか、若きトリコロール軍団が突き進む。

(取材・文 平野貴也)
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