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コロンビア戦へ向けて全力尽くすザック「これからは監督の番」

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 自力でのグループリーグ突破はない。シード国コロンビアに勝つのが最低条件、しかも運命は裏カードの結果に左右される。

 奇跡を信じるしかない状況に置かれた中、アルベルト・ザッケローニ監督は「チームの状態を取り戻すためなら何でもやる」と言い、21日の練習を急きょオフにした。

 コロンビア戦に向けた対処的な練習時間は1日分減ってしまう。だが、それよりも選手を少しでもストレスフリーにすることを選んだ。そのうえで、コロンビア戦では「大きなポイントが1つ2つある。そこは練習に落とし込んでやっていく」とし、ポイントを絞って対策を練っていくことを明らかにした。

 そこには初戦のコートジボワール戦の反省があるようだ。指揮官いわく、「相手の情報を出し過ぎて、情報を詰め込みすぎると相手をリスペクトしすぎてしまう」。

 これはFW本田圭佑がコートジボワール戦後に「なぜ守備がハマらなかったか。相手の前線の選手をリスペクトしすぎた。それに尽きると思う」と言っていたことと合致する。

 初戦を迎える前、指揮官は試合3日前に相手の攻撃陣の映像を見せながらミーティングを行ったが、そこで見たFWジェルビーニョ、MFヤヤ・トゥレ、FWドログバらビッグネームの映像は強烈なものだった。DF長友佑都が、DF吉田麻也が、DF内田篤人が、警戒心をあらわにしていた。

 とりわけ吉田にはかなりの緊張が見て取れた。メンタルのアップダウンの少ない内田でさえも緊張感を漂わせた。もちろん、大事な初戦を前に、自分たちに大きな期待を抱いているザックジャパンだったからこその武者震いもあっただろう。

 しかし、試合が始まってみれば、結果的には必要以上の警戒がラインを下げさせ、あるいは途中出場のドログバに意識を向けさせすぎ、短時間での2失点逆転負けにつながった。指揮官の胸の中には「初戦で負けたことがギリシャ戦に響いた」という思いもあった。

 コロンビアも個の強さはある。ただし、大エースのFWファルカオが負傷でW杯メンバーに入っていない今、過度のリスペクトは禁物というわけだ。

 裏カードの結果をにらみ、コロンビア戦では1点でも多くの点を取りに行く戦いが必要となる。これに関しては、「3日後のことは予想できないことが多いが、だれの調子が良いのか、だれが試合にうまく入れているのかを見極めながら、選手を動かしていきたい」と、調子の良い選手を起用する意向を見せた。

「自分たちのことへ目を向けていこうと思っている。これからは監督の番。これまで多くの喜びを与えてきてくれた日本、良い戦いをしてきた日本を出したいし、選手にもそういう話をしたい。選手たちに信頼しているということを伝えたい」

 緊急会見の冒頭では硬い表情だったザッケローニ監督だが、50分間の応答の終盤には表情も和らいでいた。去り際、イタリアのメディアから「ボッカ・ルーポ!」と声を掛けられ、笑顔も見せた。「幸運を!」を意味するイタリア語。指揮官は幸運を呼び込むことができるか――。

(取材・文 矢内由美子)

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