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[選手権予選]「全国9地域の注目校・選手vol.1」_富山一高

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特集企画[選手権予選]「全国9地域の注目校・選手」

 ゲキサカでは「選手権予選 全国9地域の注目校・選手」と題し、佳境に突入している全国高校選手権予選から各地域の注目校や注目選手を紹介。ユース年代を主に取材するライター陣に北海道、東北、関東など各地域から、選手権予選へ臨む注目校や注目選手を紹介してもらいます。第1回は昨年度の全国高校選手権で初優勝を果たした富山一高(富山)です。

 選手権王者を待ち受けていたのは茨の道だった。元々、今年の3年生の代はカターレ富山がU-18チームを設立した代で、県内の有望株が流れた年だった。例年ならば一学年で30名ほどの部員が在籍するが、今年の3年生が20人と少数なのもそのため。日本一を牽引した主力の大半が卒業し、1からのチーム作りとなった今年の富山一高(富山)は「課題が多い分、すぐに良くなるとは思っていなかった。一つひとつ、課題を修正していくしかない」と主将のMF西村拓真(3年)が口にするように強豪揃いのプレミアリーグWESTで残留し続けたこれまでの3年間とは置かれた状況が違った。

 そんな状況を示すかのように、プレミアリーグでは開幕から5試合勝ち星なし。全国高校総体予選でも準決勝で高岡一高に苦杯を味わったが、この悔しさがチームを変える力となった。「俺らが獲ったわけじゃないけど、取材とかが増えて付け上がっている部分があった。インターハイに負けた後に3年生が集まって、昨年の事は忘れようという話をした」(GK野崎仁、3年)とチームに見え隠れした奢りを捨てた。DF村上寛和(3年)が「足を一歩出せば、結果が違ってくるというのを皆が意識するようになった」と話すように練習から熱を帯び、「昨年よりレベルは落ちるけど、バラバラだった戦術や目指すサッカーが纏まり始めて、良くなってきた。個のレベルで落ちる分、チームが纏まる事が大事という事に気付いた」(西村)という。

 3年生の精神的な成長と共に、久保佳哉南田直樹という1年生MFが両サイドハーフに定着。心技体が整い始めた夏以降はプレミアリーグでは10節の名古屋U18戦で善戦を演じ、12節の東山高戦では念願だった初白星を挙げた。ここ2試合は続けて5失点を献上するなど、相手の攻撃力に屈する事もあるが、「失点した時にショボンとする事が無くなったし、立ち上がりからガツンと行けるようになった。辛い時は皆で声をかけて乗り切れるようになってきたし、いい感じになっていると思う」と野崎が話すように状態は上向きだ。

 そして、攻撃陣は「チームとしてボールを出す所が明確になってきた。これまでは斜めのボールや、相手の裏へのパスが合わなかったけど、夏以降は合うようになってきた」と西村が分析するように粘り強い守りから、素早く西村と坂本裕樹の2トップを活かす富山一らしい堅守速攻が見られるようになってきた。バランス良く2人が相手DF裏のスペースへ飛び出す動きは、得点という明確な数字だけでなく、相手DFを下げる効果や攻撃の起点となる意味合いも持ち、2列目の持ち味も上手く引き出している。

 先月末に始まった選手権予選では初戦の魚津工高戦を22-0で勝利。幸先の良いスタートを切ると、続く3回戦の大門高戦でも19-0で圧勝するなど危なげない戦いを続けている。4000以上あるチームの中でも、連覇に挑戦出来るのは富山一のみ。夏に達成出来なかった県予選突破はノルマとも言える。

[写真]昨年度高校選手権優勝校、富山一のMF西村

(取材・文 森田将義)
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