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[選手権予選]J内定2選手擁する秀岳館、創立90周年飾る劇的初V!:熊本

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[11.15 全国高校選手権熊本県予選決勝 東海大熊本星翔高 1-2(延長)秀岳館高 熊本市水前寺競技場]

 第93回全国高校サッカー選手権熊本県予選決勝が15日、熊本市水前寺競技場で行われ、ともに初優勝を懸けた東海大熊本星翔高秀岳館高が激突。1-1で突入した延長後半アディショナルタイムに1年生FW池元馨が決めた決勝点によって、秀岳館が2-1で勝ち、初優勝を飾った。

「きのう、90周年の記念式典という節目を迎えて、ある意味きょうがフィナーレだという迎え方をしてきたので、歴史の大きな節目の中で、我々の学園としてはドラマが完結したかなという感じがしますね。Jリーガーもふたりきのう誕生したし」。00年度の明徳義塾高(高知)の全国大会初出場に続いて、秀岳館を全国大会初出場へ導いた段原一詞監督は記念イヤーに掴み取ったタイトルに晴れやかな表情を浮かべていた。

 決勝前日の14日、秀岳館は創立90周年などを祝う式典の中でMF大岩亮太主将(3年)のザスパクサツ群馬入りと、CB笹原脩平(3年)のサガン鳥栖入りを発表。この“演出”によってより引き立てられた決勝だったが、彼らは最高の形でフィナーレを迎える。1-1で迎えた延長後半アディショナルタイム、左CKを得た秀岳館は大岩がサインプレーからMF淺川賢巳(2年)とワンツー。そしてクロスを入れると、笹原が頭で合わせたこぼれ球を池元が左足でゴールへ叩き込んだ。スタンドへ一直線へ走り出した池元が歓喜の跳躍。ドラマティックな幕切れで秀岳館が初優勝を果たした。

 準決勝で全国高校総体準優勝の大津高を破る番狂わせを起こしている東海大星翔との決勝は序盤、東海大星翔が押し込む展開。左サイドをMF矢野達基(2年)とMF榎島聖稀(3年)のワンツーで打開する東海大星翔は、16分にワンツーから榎島のクロスがファーサイドのFW守田雄樹(2年)に決定的な形で通るが、身体を投げ出して守る秀岳館守備陣の前に押し込むことができない。ただ10番を背負う技巧派SB小田健伸(3年)の左足キックやセンス溢れる矢野のゲームメークから攻める東海大星翔は、33分にも相手のミスパスをインターセプトした守田が左足シュートを打ちこんだ。

 対する秀岳館もわずか13分で敢行した選手交代や前半だけで2度行ったポジションチェンジなどから流れを引き寄せていく。大型のアンカー、MF松江祐昌(3年)がワンツーから左サイドを抜け出し、右SB近藤智耶(2年)が高い位置まで攻撃参加を試みるなどオープンスペースを活用する秀岳館は、大岩や池元の突破も交えて攻め返す。35分には大岩のキープからFW長尾宝(3年)が右足シュートを放ち、直後には左サイドからのパスをMF山本拳志(2年)が1タッチで落とし、大岩が右足シュートを打ちこむ。そして36分、左スローインを受けた大岩がゴールライン際を個人技で突破すると、ラストパスを警戒したGKの逆を突く右足シュート。「GKの目線が中の選手しか見ていなかったので、股が開いているのが見えたのでそこをしっかりと狙っていました」という大岩の技ありシュートで秀岳館がスコアを動かした。

 リードを奪われた東海大星翔は後半4分、小田のループパスを起点に榎島、FW渡邉駿(2年)とつなぎ、最後は右MF藤田健吾(3年)が決定的な右足シュート。16分には左サイドを突破した榎島のクロスにファーサイドから守田が飛び込んだ。そして20分、後半明らかに試合を支配していた感のあった司令塔・矢野からのパスを受けた藤田が、右サイドを縦に突いてクロス。これが処理しようとした185cmGK矢野尚希(3年)の手を弾くと、そのままゴールラインの中へ弾んで同点ゴールとなった。

 ただ後半終盤、勢いづいたのは秀岳館の方だった。不運な形の失点、そして苦しい時間帯もあった秀岳館だったが、笹原が「サッカー部以外にも応援に来てくれたりしていた。苦しくなったら応援団の方見て。支えがあったので絶対に勝たなきゃいけないという気持ちがありました」と語ったように気持ちを奮い立たせて勝負を決めに行く。26分に切り札、FWシルバヘイス・ヴィットル・カウワン(2年)を投入した秀岳館は、力強い跳躍やキープで会場を沸かせるこの2年生FWのパワーも活用しながら攻勢に出る。相手の攻撃は笹原とCB江藤栄起(3年)が跳ね返すと、セカンドボールを収めるMF西村友宏(3年)や大岩、交代出場の淺川、山本がぐいぐいと前に出て相手に圧力をかけていく。一方の東海大星翔は後半半ばから足を攣らせる選手が続出。期待の大きい矢野も延長後半開始直後に交代した東海大星翔に対し、選手が変調に陥る前に交代策などの手を打っていた秀岳館が試合の流れを完全に引き寄せていた。

 延長前半3分、秀岳館は交代出場の左SB長廉太朗(3年)のクロスから山本が決定的なヘディングシュートを放つも、これはクロスの対応など再三好守を見せていたGK藤田悠太郎(2年)がキャッチ。逆に東海大星翔は6分、MF{瀧上優}}(1年)の絶妙なスルーパスで右サイドを抜け出したFW中川直哉(3年)が右足シュートを放ったが、クロスバーを叩いてしまう。1-1のままPK戦に持ち込まれるかと思われた試合は、1年生FW池元の劇的ゴールによって決着がついた。秀岳館の段原監督は「常に365日、この100分間のために、80分間じゃなくてというのがひとつの大きなテーマで、延長戦を含めて100分間の中でということでやってきた。最後のセットプレーは練習通り。だから準備なくして勝利なしと言うところだと思います」。

 秀岳館の全国大会の目標は日本一。大岩は「それぞれが自分の持っているものをフルに出せれば日本一を目指せるチームだと思っている」と語り、笹原は「優勝しかないです。初出場で優勝とか馬鹿にされるかもしれないですけど、そこを目標にしていかないと戦っていけない」と言い切った。激戦区・熊本を勝ち抜いた秀岳館が創立90周年のドラマを見事に完結した県予選に続き、全国でどのようなドラマを演じるのか、注目だ。

(取材・文 吉田太郎)
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