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[選手権]エース27分間で交代も「今年の強み」発揮、尚志が広島皆実との強豪対決制す!!

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[12.31 全国高校選手権1回戦 尚志高 2-0 広島皆実高 柏の葉]

 第93回全国高校サッカー選手権1回戦で夏の全国高校総体16強の尚志高(福島)と同8強の広島皆実高(広島)が激突。後半の2得点によって尚志が2-0で強豪対決を制した。尚志は15年1月2日の2回戦で聖和学園高(宮城)と戦う。

 誰が出ても勝つ。今年の尚志の良さが強豪対決で再び発揮された。仲村浩二監督は「全員サッカーが目的だったので、誰が出てもいいという中で、代わった選手が得点獲ったので、『これが今年の尚志だ』ということを出せたんじゃないかと思います。今年は誰使ってもいい。悩むくらい」。尚志は前半27分に左内側筋負傷を抱えるエースFW林純平(3年)が交代。50分以上を残す中でプリンスリーグ東北得点ランキング2位の注目エースを欠くことになった。

 ただ、今年の尚志はプリンスリーグや各大会で故障者が出ても穴を埋めて白星を掴んできた。特に県予選準々決勝の聖光学院高戦は最終ラインの3選手が怪我などで欠場する非常事態だったが、1-0でしぶとく勝利してきている。そのチームは全国初戦でのアクシデントにも動じない。前半は中盤で相手ボールを引っ掛けるMF油井喬介主将(3年)を中心とした広島皆実の堅守の前にシュートゼロで終わったものの、県予選決勝で4得点を挙げるなど得意の後半にペースを上げて広島皆実を突き放した。

 後半2分、MF津田亘介(3年)の縦パスで抜け出した交代出場FW小野寛之(2年)が左足シュートを打ちこむ。その後も林に代わって投入された小野がスペースへの動きと高いキープ力でチームの攻撃を引き出すと、注目MF稲村知大(3年)とMF佐藤凌輔(2年)、そして津田が高いキープ力と正確なキックによって攻撃を組み立てて流れを引き寄せた。

 そして0-0で迎えた後半24分に尚志は本来CBの元FW、佐藤誉をピッチへ送り出す。すると29分、尚志は左SB慶野雄大(3年)の左ロングスローをニアサイドでCB山城廉主将(3年)がつなぐと、「自分も中に折り返そうと思って」と懸命に飛び込んだ佐藤誉が浮き球を後頭部でプッシュ。これが、ゴールへ吸い込まれ、待望の先制点になった。山城は「誰かが怪我で抜けたとしても変わらないサッカーができるというのが今年の強みであるので。(林)純平が怪我でも代わって出る選手が仕事をする。それが今の尚志の良さ」。尚志は後半37分にも敵陣に放り込まれた縦パスに佐藤誉が走り込むと、こぼれ球を蹴り出そうとした広島皆実DFのキックがゴール方向へ。終盤で焦りが出たか、痛恨のミスが試合を決定づける2点目となり、尚志が2-0で勝った。

 広島皆実は前半、FW梶原亮やFW俵脩造(ともに3年)が思い切ったミドルシュート。後半18分には左サイドを抜け出したMF横路翔太(3年)が対応するDFをブロックしたままPAまで持ち込んで決定的な左足シュートを放った。だがシュート精度を欠いた広島皆実は「ボランチも含めて予測して守備の意識が高かった」(仲村監督)という尚志の守りを攻略することができない。またPAで強さを発揮した尚志の山城と渡邉康平(2年)の両CBの前に決定打を放つこともできなかった。高いレベルでボールを奪うことはできていた広島皆実だったが、油井が「奪った後の攻撃が勝てなかった要因。攻撃力を意識してやってきた中で最も出せなかった」と悔やむ内容で08年度全国王者は初戦敗退となった。

 尚志は東日本大震災から1年経たない時期に迎えた11年度大会で全国4強まで勝ち上がり、被災地・福島に勇気を与えた。今年の目標はその11年度を上回る全国制覇だ。仲村監督は「今年、選手の実力はあると思うので、その実力をキチンと出し切ることと、普段からキチッ、キチッとやることで勝利の女神がどれだけ向いてくれるかというのは選手たちと話している」。足を攣らせるほど走り回った左SB中村駿介(3年)や稲村ら献身性も出し切って掴んだ勝利。林の復帰も期待される2回戦でも「全員で勝つ」。

[写真]後半29分、尚志は交代出場の佐藤誉が後頭部で先制ゴール!

(取材・文 吉田太郎)
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