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[練習試合]日本高校選抜候補、終盤の3発で駒澤大に逆転勝ち!!

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[2.9 練習試合 日本高校選抜候補 4-3 駒澤大 時之栖Bグラウンド]

 日本高校選抜候補は選考合宿2日目の9日、駒澤大と25分×5本の練習試合で対戦。FW高沢優也(流通経済大柏高3年)の決勝ヘッドなど5本目に3点を奪って4-3で逆転勝ちした。

 昨年に続いて高校選抜合宿に参加しているジュビロ磐田GK志村滉(市立船橋高3年)が「みんな個々で気合が入っている。去年も来ているんですけど、(その時に比べて)チームワークがいいというか、みんな仲がいい気がする」という今年の選考合宿メンバーたち。この日はデュッセルドルフ国際ユース大会(ドイツ)に出場する最終メンバー争いの激しさを感じさせる練習試合だった。やはり全体的にレベルが高く、またこの日は持ち味を出した選手が多数。「(選抜入りは)ご褒美とかそういうのではなくて、本気のところでぶつかってきてほしい。すべての試合がこの後のNEXT GENERATION MATCH もそうだし、静岡のヤングサッカーフェスティバルもそうですし、彼らにとって一番行きたいのはデュッセルドルフの国際ユースなので当然それもそうなんだけれども、その前の部分も真剣にやってほしい。国際ユースのためだけではなくて、一つひとつが全部彼らのためになるようになってほしいです」と全力プレーを期待する大野聖吾監督(大垣工高)は「ロングボールの対応、セカンドボールの対応、トランジッションのところ、そこのところがまだまだ逃げているところがあった」とより強いプレーを求めつつも、「こちらは楽しみは楽しみなんですけど(選考が)大変は大変ですね」と微笑んでいた。

 4-2-3-1システムを組んだ高校選抜は1本目、GKが吉田舜(前橋育英高3年)、4バックは右から久保和己(流通経済大柏高3年)、U-18日本代表DF野田裕喜(大津高2年)、菊池流帆(青森山田高3年)、小川明(履正社高3年)。中盤は高校日本一・星稜高の平田健人と14年U-19日本代表MF鈴木徳真(前橋育英高3年)のダブルボランチで、右はU-17日本代表FW岩崎悠人(京都橘高1年)、左が末吉塁(初芝橋本高3年)、トップ下に14年U-19日本代表MF渡邊凌磨(前橋育英高3年)。1トップは青柳燎汰(前橋育英高3年)が務めた。立ち上がりから押し込んだのは駒大。チームが始動してまだ1週間ほどというが、それでも立ち上がりやや受けてしまっていた日本高校選抜をパワーで押し込んだ。だが、そこを上手く乗り越えた日本高校選抜は8分に先制点を奪う。敵陣で相手ミスを突いた末吉がPAへ侵入してそのまま左足シュートをゴールへ流し込んだ。駒大は直後に決定機をつくったが、これは菊池が対応良くブロック。逆に日本高校選抜は12分、吉田のキャッチから素早くカウンターへ移る。プレッシャーを受けながらも良くボールを収めた渡邊が前を向いてスルーパスを送ると、走りこんだ青柳が間髪入れずに右足一閃。ミドルレンジから放たれた一撃はクロスバーを直撃した。

 日本高校選抜は13分、青柳をMF藤島樹騎也(星稜高3年)へ交代。岩崎を最前線へ出した。大学生相手に光っていたのは守備面。吉田が的確なキャッチングやしっかりと手に当てたパンチングでピンチを逃れれば、昨年、ロアッソ熊本の特別指定選手としてJ2デビューを果たしている野田がスライディングでボールをインターセプトするなど的確な守備を見せる。また久保と小川の両SBは際のところで絶対に相手にボールを譲らない。加えて鈴木と平田がインターセプト、ダイレクトパスなどで攻守に貢献。そして斜めにスペースへ走り込む岩崎や末吉のスピード、渡邊、藤島の技術も利いて、1-0で1本目を終えた。

 2本目はGKが坂口璃久(星稜高2年)で4バックは右から大野佑哉(山梨学院高3年)、渡辺剛(山梨学院高3年)、平田、久保。中盤は澤田篤樹(流通経済大柏高3年)と前川優太(星稜高3年)のダブルボランチ。右が伊藤大祐(山梨学院高3年)、左が旗手怜央(静岡学園高2年)、トップ下が田場ディエゴ(日大藤沢高3年)、1トップには高沢が入った。2本目は1本目以上に押し込まれる展開。大野監督も「ここまで徹底してくるかと面食らったところもあった」と説明したように、駒大のロングボールを中心とした攻撃に苦戦した日本高校選抜だが、ゴール前で堅い。9分、ゴールを捉えたミドルシュートを坂口が1ハンドでCKへ逃れると、PAへ入り込んでくる相手の突破を渡辺剛や平田が身体を張ってストップ。そして大野は17分に決定的なシュートをゴール手前でブロックすると、19分にもGK不在のゴール前で至近距離からのシュートを阻止する。立て続けに見せた大野のビッグプレーに観衆がどよめいたほど。澤田、久保が球際で見せる強さも光り、根気強くリードを守っていた。

 そして攻撃面ではカウンターから旗手や伊藤、高沢がスピードを活かしてスペースを駆け上がる。前川がインターセプトからラストパスを配球するシーンもあった。また13分に投入された森島司(四日市中央工高2年)や田場が技巧で攻撃の起点になろうとする。だが21分、駒大のMF中村駿に同点ゴールを献上。そのまま2本目を終えた。

 3本目にはGK志村が登場。右から渡辺剛、野田、大野、小川の4バックで、ダブルボランチは澤田と森島、右MFが藤島で左MFが岩崎、トップ下に小林颯(四日市中央工高2年)、1トップに中島隆司(立正大淞南高3年)が入った。これで負傷欠場したCB宮本鉄平(前橋育英高3年)と合宿参加を負傷辞退しているFW一美和成(大津高2年)を除く全25人が出場。3分に志村が至近距離からの決定的なシュートを阻止すると、日本高校選抜は2本目までに比べてボールを握る時間を増やし、スピードのある攻撃を見せた。空中戦で強さを発揮する中島を起点に小林や森島がPAへパスを供給。14分にはインターセプトした小林が澤田とのワンツーから右足シュート、22分に森島を前川にスイッチした後には大きなサイドチェンジから小川が敵陣深い位置からクロスへ持ち込むなど流れを引き寄せていた。

 4本目はGK吉田、4バックが右から伊藤、渡辺剛、菊池、久保で、中盤の底の位置に鈴木と前川、右MFが藤島、左MFが旗手、トップ下に渡邊凌、1トップ・青柳へスイッチ。5分、PAでDFをかわした渡邊凌がチャンスをつくり出し、8分には中央のFKから右サイドの伊藤が入れたアーリークロスを青柳が中央へ流す。渡邊凌が放ったヘディングシュートはGKの正面を突いたが、ビッグチャンスをつくり出した。攻撃の流れが良くなった日本高校選抜は久保の攻撃参加など個々が持ち味を発揮していく。だが15分、クリアボールを駒大MF大塚光一郎に左足で叩き込まれて勝ち越された。日本高校選抜は17分に渡邊凌を末吉、吉田を坂口、25分には渡辺剛を大野へ交代。だが、ゴールが遠いまま4本目を終えた。

 そして最終5本目はGK坂口、伊藤、野田、大野、小川の4バック、澤田と平田のダブルボランチ、右が藤島、左が末吉、トップ下が小林、1トップが中島でスタート。8分に藤島の右クロスが小林に通るが、右足シュートはヒットせず。9分に坂口を志村に代えたが、11分にDFと駒大DF中村陸が競ったボールがオウンゴールのような形でゴールへ吸い込まれて3点目を失ってしまう。それでも直後に鈴木、高沢を投入した日本高校選抜はここから大逆転劇を演じて見せる。

 13分、左サイドを切り裂いた末吉の折り返しを澤田が左足ダイレクトでゴールへ沈めて1点を返すと、18分にはセットプレーの流れから小林が入れた左クロスをPAに残っていた大野がヘディングシュート。わずかに放物線を描いたボールは駒大GKが反応したが、掴みきれずにボールはゴールラインの内側にこぼれて同点となった。連続得点でイケイケムードの日本高校選抜は20分にスルーパスで小林が抜け出すビッグチャンス。これはシュートが枠を外れて活かすことができなかったものの22分、小林の右CKを高沢が頭で左隅へ流し込んで逆転勝ちを収めた。いい形で唯一の対外試合を終えた日本高校選抜候補。試合後には各選手が、欧州遠征メンバー入りへの意欲を口にしていた。最終日の10日は紅白戦を実施。「本気の」選手たちが最後のアピール合戦を繰り広げる。

(取材・文 吉田太郎)

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