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ミスジャッジからの失点も…F東京DF森重「自分たちはやるべきことをできた」

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[3.7 J1第1ステージ第1節G大阪2-2 F東京 万博]

 2失点を喫したFC東京だったが、マッシモ・フィッカデンティ監督は、その守備について「素晴らしかった」と、合格点を与えた。ガンバ大阪の2トップは左に技術に長けたFW宇佐美貴史、右にフィジカルの強いFWパトリックが入る。それに応じて、本来は左CBのDF森重真人を右CBに、右CBのDFカニーニを左CBに配置した。カニーニはフィジカルの強いパトリックに競り勝つ場面も多く、また森重も宇佐美に自由を与えなかった。

 安定感ある守備を見せていたF東京だったが、前半終了間際の先制点を防ぐのは難しかった。明らかなミスジャッジが絡んでいたからだ。MF遠藤保仁から縦パスを受けた宇佐美に森重が対応し、続いてMF米本拓司がカバーに来た。このとき、宇佐美のコントロールしたボールはラインを割り、岡部拓斗主審は腕でコーナーキックを指し示したように見えた。一瞬、森重、米本だけでなく、F東京の守備の集中が途切れた。

 しかし、宇佐美がプレーを続けると、ホイッスルは鳴らず。宇佐美からのリターンパスを受けた遠藤がゴール前に丁寧なクロスを入れると、それまでカニーニやMF梶山陽平のマークに苦しんでいたパトリックが、マークを外してヘッドでゴールを決めた。

 F東京の選手たちは審判団に詰め寄ったが、判定は覆らず。試合後、フィッカデンティ監督は「1失点目は、誰の目にも明らかなエピソードがあった」と、短い言葉の中に怒りを滲ませた。森重もやりきれない表情で「レフェリーに関しては、言うことはないです。ボールがラインを越えたのも見えたし、レフェリーもCKを指さしていましたし、ただ、笛が鳴らなかったのでプレーを続けなければいけなかったのかなと思います」と、苦い表情で振り返った。

 このゴールをアシストした遠藤でさえも、「あれは今後、自分たちにも、もしかしたらああいう状況が来るかもしれないので、笛が鳴るまでは、足を止めずにやりたいなと思います。一瞬止まった分、だいぶ(パトリックが)フリーになりましたし、ああいうことも起きることを自分たちも理解して、笛が鳴るまではプレーするようにしたい」と、自戒を込めて語った。

 思わぬ形で先制点を許し、後半の開始にもPKから2点目を与えたが、全体的な守備について森重は好感触を得ていた。「チームとしてしっかり機能したかなと思います。前半も後半も、自分たちがやりたいことをしっかりできましたし、自分たちはやるべきことをできた」という手応えがあっただけに、不可解な判定から喫した先制点は悔やみきれないものとなった。

(取材・文 河合拓)

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