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HTにキレた磐田 名波監督「これまでの14節で一番ストレスの溜まるゲーム」

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[5.17 J2第14節 大宮1-1磐田 NACK]

 ハーフタイム、ジュビロ磐田のロッカールームでは名波浩監督の雷が落ちたという。試合後の会見、監督自身が明かした。

「勝ちゲームを落としたとか、勝ち点1を拾えたとか。そういう感じではなく、妥当な引き分けと言っていいかなと思います」と結果についてコメントしてから、「ただ、これまでの14節の中で、一番ストレスの溜まるゲームでした。ハーフタイム、選手たちには叱咤激励というか、完全にキレた状況で、いろいろとメッセージを伝えました。結果、後半はなんとか持ち直したところがあると思いますし、大宮とお互いにやりたいことがやれたのかなと思います」と続けた。

 立ち上がりこそチャンスをつくった磐田だったが、その後は大宮にボールを支配される展開が続いた。ハーフタイムの指示を具体的に聞かれた名波監督は、「きれいな言葉で言えば、しっかり戦おう。球際にちゃんと行き切ろう。あとは、後ろ向きなプレーはやめましょう。きれいな言葉で言えば、そういうことでしょうか。あとは選手たちに聞いてください」と、報道陣を笑わせた。

 ストレスの要因について、「大宮に好き勝手やられている時間が長くて、自分たちが待ちのサッカーをしていた。アクションサッカーを掲げてシーズンをスタートしたはずなのに、自分たちから動き出してボールを奪いに行けない。誰かがカバーをするわけでもない。とにかく、大宮が突っ込んでくるのを待っているようなサッカーをしてしまっている。気づいたら、ボランチのエリアで慌てて出て行って、はがされてサイドを使われてという繰り返しだった」と言い、「その辺が一番、後半を迎えるにあたって指示したところです」と、修正ポイントを説明した。

 そんな内容でも、昇格を争うライバルである大宮との一戦を1-1の引き分けに持ち込めたのは、外国人選手によるところが大きい。後半28分、セットプレーのチャンスを生かして先制点を挙げたFWジェイ、そして終盤のPKストップを含め、好セーブを連発したGKカミンスキーの存在は、首位に立つチームの強みだ。

 カミンスキーについて、名波監督は「当たり前のように自分の仕事を全うしてくれているなという気持ちが強いです。われわれにとっては、PKはもちろん、FKもビッグセーブでした。でも、彼にとってはイージープレーかもしれません。まだ若いですが、底が知れないなと。獲得した我々の意図を、彼自身が感じ取ってやってくれているなと、あらためて思います」と、厚い信頼感を口にした。

 一方で、日本人選手たちもこのままではいけないと感じているようだ。MF小林祐希は「カミンスキーにしろ、ジェイにしろ、今日チームを勝たせるプレーをしたのは外国人選手だった。助っ人に頼っているばかりでは、本当にチームが強くなったとは言えない。もっと自分を含めて日本人選手がゲームをコントロールできるようにならないと、これから厳しい試合で勝てない。もしくは落としてしまうと思う」と反省。名波監督がキレなくて済むゲームを展開できる力を付けることを誓っていた。

(取材・文 河合拓)

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