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怒り心頭のチョウ・キジェ監督「このシーンは僕の中では一生忘れてはいけない」

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[6.7 J1第1ステージ第15節 川崎F2-1湘南 等々力]

 1-2で敗れた試合後、会見場に現れた湘南ベルマーレチョウ・キジェ監督は静かな口調で言葉を吐き出し、明確な怒りを発していた。

「今年初めての川崎さんとのダービー。日曜日、天候にも恵まれ、我々のサポーターも湘南地域からたくさん来てもらったし、フロンターレさんのサポーターも本当に多かった。やっていて本当に陸上トラックがなければ…というのは失礼な話になるかもしれませんが、ヨーロッパの試合の一つのような雰囲気で試合ができていて、負けていうのは何ですが、本当に選手たちは楽しかったのではないかと思います」と、一気に語った。

 そして、後半9分に認められなかったMF菊地大介のシュートについて言及した。

「我々が2-0に実際やったことが1-0のままで、追いつかれる。そういう現実が、現実ではなく夢なのかなと思っている自分もいるし、でも、夢ではなくて現実だと思う自分もいます。ゴールに入った、入っていないで今年はすごく揉めますが、指導者として、監督として『それが実力だ』と言われたらそこまでだと思います。でも、今の僕の気持ちは、それが彼らの実力だというふうに切り捨てることは、なかなかできないです。それくらい、僕らが見えている壁ではなく、見えていない壁に対して、自分たちの努力を1%でも積み上げるしかない。そういう気がしていますし、この選手たちの今日の表情、最後にやられたあの場面の光景、シーンは僕の監督としての人生の中で忘れられない間違いなく忘れられないシーンになるだろうなと思っています」。

 そう言ってから、チョウ監督は「すみません、それ以外はあまりプレーのこととか、展開を聞かれても応えられるか分かりませんが、そういう気持ちでいます」と謝った。

 さらに質疑応答の中で、今後の行動について問われると、解決策についても言及した。
「ヨーロッパなら、今はゴールの横にアシスタントレフェリーを置いています。日本は、Jリーグはまだ採用していません。結果的に言えば、そういった制度があれば解決する場面が、我々の試合だけではなく、今シーズンたくさんあったのかなという気がします。別に全世界、そのルールを採用しているわけではないのですが、(ゴールに)入ったか、入っていなかったというところでいえば、当たり前ですがボールのスピードは人間よりも速い。見きれないことがあるという前提があるなら、もう一度振り返って、入ったか入っていなかったかを検証するような時間があってもいいのかな、というふうに正直に思います。オフサイドラインに付いているレフェリーが、シュートが入ったかどうかは見きれない。そこに対する○、×っていうのは、選手のために付けられれば、なおいいのかなと」

「その制度を批判する立場ではないのですが、物理上は難しいだろうと、ああいうシーンを見ると思うので。そのことに対して善処というか、選手が納得できる形をとってもらえると、と思います。それも含めて僕たちは、見えない何かに左右される。それを一概に実力がないというのではなくて、そういうところで、この試合のこのシーンは僕の中では一生忘れてはいけないと思っています」

 今シーズンは、得点に関わる場面で多くのミスジャッジが指摘されている。今後、Jリーグがどのような対応をするのか、注目が集まる。

(取材・文 河合拓)

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