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ボールを奪い、前田弾アシストのF東京 MF野澤「あの場面は理想的だった」

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[7.29 J1第2ステージ第5節 F東京3-1仙台 味スタ]

 リーグ戦2試合、白星のなかったFC東京を勝利に導くプレーを20歳のボランチが見せた。MF高橋秀人の出場停止で巡って来たチャンス。今シーズン、リーグ戦では初先発、公式戦でも2試合目の先発となったMF野澤英之は、1-0で迎えた前半23分に中盤でボールを奪うと、そのままボールを持ち上がり、FW前田遼一にパス。チーム2点目のゴールをお膳立てした。

 その場面について、野澤は「ボールを持ったとき、スペースがあったので自分で行くことも考えました。左足でボールを持っていたので、自分でシュートを打つのか、パスを出すのか、考えながらドリブルしていたんですけど、遼一さんと一瞬、目が合ったので、『これ、パス出したら決めてくれるかな』と思ってパスを出しました」と、振り返った。

 試合の多勢を決めることとなる2点目につながったプレーは、若いボランチに自信を与えた。「前よりは球際でボールを奪えるようになりましたし、あの場面は理想的だったと思います。中盤、ボランチとしてはボールを奪うだけではなく、アシストにつなげられたことが良かったプレーだと思います。自分の良さはパスだと思っているので、ああいうプレーやアシストを増やしていきたいです」。

 自らボールを奪ってから、フィニッシャーにつなげる。その大枠で「理想的」と言った野澤だが、このプレーにも課題があると振り返る。「あんまり遼一さんを見過ぎずに出したつもりだったんですけど…。あまりDFの逆をとれていなかった。でも、良い所にこぼれてくれたのは、ラッキーだったかなと思います」。

 あの場面、野澤がイメージしていたのは、視線や体の向きで前田のマークをもっと外し、より良い状態でシュートを打ってもらうことだった。「こうしたら、相手はこうやって動くとか、そういう部分はもっと試合を重ねたら分かっていくと思います。その中で、成長していければいいなと思います。あのパスも、自分の意識ではもっとDFが外れているはずでした。受け手を見て縦パスを出すと、相手もわかりやすい。練習でCBをやったときに『こうやられるとイヤだな』と思ったんです。縦パスを出すとき、一瞬だけパスを出す味方を見て、目が合ったら、あとはなるべく見ないようにして、間接視野でパスを出せるようになりたいです」。

 試合後、マッシモ・フィッカデンティ監督は、チーム全員の前で「出ていないときも準備を怠らなければ、こうやってしっかりプレーできる。なかなか出場のチャンスがなかった選手がこうして活躍するのは嬉しいし、出ていない選手たちの励みにもなったと思う」と話したという。

 3-0の勝利を収めた試合にフル出場した若武者にとっては、その言葉も大きな財産だ。「これからも、今日のようなプレーを続けてやっていきたいと思います」と、野澤は力強く言い、白い歯をこぼした。

(取材・文 河合拓)

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