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[総体]赤と黄の白熱の撃ち合い!「強い」東福岡が藤川3発など5ゴールで2連覇王手!!

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[8.8 全国高校総体準決勝 東福岡高 5-2 立正大淞南高 ユニバー記念競技場]

 平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技(兵庫)は8日に準決勝を行い、2連覇を狙う東福岡高(福岡)が2年生MF藤川虎太朗のハットトリックの活躍などによって、初の決勝進出を目指した立正大淞南高(島根)に5-2で逆転勝ち。2年連続3回目の全国総体優勝に王手を懸けた東福岡は9日の決勝で市立船橋高(千葉2)と戦う。

 伝統のオープン攻撃とショートコンビネーションでゴールを陥れる“赤い彗星”東福岡と、代名詞となっている「中央突破」で決定機を作り出す“黄色い稲妻”立正大淞南。赤と黄色のユニフォームが激しく攻め合った一戦を東福岡が制した。決定機の数は、両者の間にそれほど差があったようには感じない。立正大淞南のシュートがポストを叩き、東福岡のU-17日本代表GK脇野敦至のビッグセーブに阻まれた一方、東福岡はビッグチャンスではないようなシーンからでも着実に加点していった。勝敗は紙一重だったようにも映ったが、それでも、立正大淞南の南健司監督は東福岡の強さを口にする。「(スコアに表わすこと)それが強さだと思うんですよね。(拮抗した前半の展開でも)それが3-1になってしまうのが東福岡の強さ。それは感じましたね」。四日市中央工高との初戦も、履正社高との準々決勝も、相手にも十分に勝機があった。だが、勝ったのは「強い」東福岡。6試合で26得点をたたき出した昨年ほどの破壊力はないが、接戦で勝ち切る強さを示した東福岡が堂々の決勝進出を果たした。

 立ち上がりからシュートシーンの多い撃ち合いに。立正大淞南は前半5分にDFラインの背後を突くと、GK脇野が飛び出してクリアしたボールをMF上西健也が右足で狙う。これは脇野が好反応でストップしたが、こぼれ球をエースFW井上直輝が左足で押し込んで先制点を奪った。だが東福岡は10分、藤川が左サイドのMF橋本和征に預けると、縦に仕掛けた橋本の折り返しをコントロールした藤川が倒れ込みながらも右足でゴールへねじ込んで同点に追いついた。

「(先制されたが)選手たちが沈まずに攻撃して。虎太朗が身体倒しながら良く決めて、チームが盛り返した1点だった」と森重潤也監督も評した一撃で、東福岡はすぐさま同点に追いついた。対する立正大淞南は14分、MF白岩直斗のスルーパスでFW杉本龍哉が抜け出したが、右足シュートはゴールマウス直撃。直後、東福岡はMF中村健人主将が右サイドへスルーパスを出すと、完全に抜け出したMF三宅海斗がGKと1対1から左足シュートを放つ。GKをかすめてゴール方向へ飛んだボールを最後は橋本がプッシュ。これで2-1と逆転した。

 立正大淞南のスルーパスが次々と決定機に繋がり、東福岡も最前線のFW毎熊晟矢がポイントとなって、両ワイドからの攻撃に繋げる。立正大淞南は29分、得意のトリッキーなFK。肩を組んだ3選手がポイントからゴール方向へ後進すると、その3人が前のめりに倒れ込んだ瞬間、井上が右足を振りぬいた。相手の虚を突いたが、シュートはわずかにゴール右外へ。逆に33分、東福岡は強引に中央突破した毎熊が左サイドの橋本に預ける。橋本が左足クロスを入れると、DFの頭を経由したボールがファーサイドで待ち構える藤川の下へ。ダイレクトで放たれた左足シュートがゴールへ吸い込まれて3-1となった。

「確かに攻め込まれている場面はあったと思うんですけど、ウチの攻撃もいつになく落ち着いてフィニッシュまで行けたと思います」と東福岡・森重監督。後半も先に得点したのは東福岡の方だった。2分、左サイドで毎熊とパス交換した藤川が寄せの甘いDFのマークを簡単に外して左足シュート。これがニアサイドへ突き刺さり、4-1となった。立正大淞南にとっては痛恨の4失点目。諦めずに反撃を再開し、9分には左SB澤田拓実のスルーパスから井上が決定的な左足シュートを放ったが、GK脇野の好守に阻まれてしまう。それでも14分、右タッチライン際を強引に突破したMF上村大悟のクロスを交代出場のFW千川原慎が頭でねじ込んで2点差とする。

 さらに21分には後半躍動していた上村の突破から、折り返しを井上が右足で合わせる。だが、これがゴール右へ外れると直後の22分、東福岡は藤川のフィードからDFの前に出た交代出場FW餅山大輝が右足シュートを流し込んで5点目。運動量多く攻め続けた立正大淞南だが、東福岡も終盤は背後を取らせず。逆に右SB小田逸稀がパワーあるオーバーラップを見せるなど押し返していた東福岡が5-2で勝利した。

 昨年ほど前評判は高くなかったものの、一戦一戦成長しながら決勝まで駒を進めて来た東福岡。前回大会の優勝メンバーでもある中村は「ここにきて一人ひとりプレーの質も上がってきている。勝ちも大事ですけど、全国決勝の雰囲気とか決勝の経験を大事にしてほしい」とチームメートたちに期待した。また、脇野は「みんな2連覇、最終的に優勝ということを目指してやってきてくれたので、そこはみんなで勝ち取った決勝戦、あしたもみんなで戦って勝ちたいと思っています」。苦しい戦いを乗り越えながら強さを増してきた東福岡。強敵・市立船橋との決勝でも今年の強さを発揮して2連覇を達成する。

[写真]後半2分、東福岡はMF藤川が左足で決めてハットトリック達成
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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