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[総体]準優勝の市立船橋「PKの結果はきっちり受け止めたい」

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[8.9 全国高校総体決勝 東福岡高 1-1(PK6-5)市立船橋高 ノエスタ]

 試合後の控室前。準優勝に終わった市立船橋高の朝岡隆蔵監督の口からは「アタッキングサード」という言葉がしばしば出てきた。

「ゲームを安定させることはできたが、アタッキングサードへ入って行くところの個人、グループで課題があった」

 東福岡高に対しては、「アタッカーにいい選手がいて、チェンジサイドされてフリーにすると数的優位を作ってくる。SBもあがってくる」という分析をもとに守備プランを構成。ほぼ機能させることに成功した。攻撃面に関しても、背番号10のU-18日本代表FW永藤歩が準決勝でケガをして不出場だったとはいえ、「矢村(健)が少しずつ上がってきてくれたので。前半はよくやってくれた」と振り返る。

 だから、1点ビハインドで迎えたハーフタイムはアタッキングサードのへの侵入の仕方に対する指示に終始した。しかし後半、フィニッシュまで中々持っていけない。「足も止まってビルドアップもおぼつかなくなってきたので少し変化を」。残り10分で3-4-3に変更。ビルドアップの安定を図った。相手がくらいついて来ない状況でボールを失いたくなかったので無理なパワープレーにも出ず。その忍耐が最後のワンプレーでの劇的同点ゴールにつながったといえる。

 しかし、流れを呼び込め切れず結果はPK方式での敗戦。「PKは常々運ではないと言っている。技術や精神的強さといった面で負けたので負けは負け。それはきっちり受け止めたい」。それよりもPK方式にもつれ込んだことに課題を感じている。

「課題は明確です。アタッキングサード。パワーを持って個で切り拓けるのが永藤以外いない。グループで崩すことと同時に個人にも求めていきたい課題です。キレイにやっていても全然ダメで、強引にでも侵入していける選手がいないと」

 ラストプレーでの同点劇、PK方式の悔しい敗戦・・・・・・印象深い試合だったが、朝岡監督が恐れているのは全国決勝まで行ったことで選手たちが「あぐらをかくこと」だ。

「選手権に向けて風通しの良い競争の状況を作っていきます。総体を経験した選手はもう1歩高い意識を持ってくれることに期待し、新しい選手が出てくることにも期待している。特にアタッカーはもう2、3人出てくるぐらいの勢いでいないと。もちろん総体に出場した選手はがんばってくれましたけど、出たことで安心してあぐらをかくのではなく、危機感を持って高みを目指してもらいたいので」。

 チームは準優勝でもまだ道半ば。まるで明日もまた試合があるかのような、気の引き締まり具合だった。

(取材・文 伊藤亮)
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