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[adidas cup in Fukuoka]全4試合完封勝利!ルーテル学院下した東海大五が初代王者に!

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[8.20 adidas cup in Fukuoka決勝戦 東海大五高 3-0 ルーテル学院高 グローバルアリーナ]

 今冬の全国大会出場を目指す強豪8校が優勝を争った「adidas cup in Fukuoka」の決勝戦が20日に行われ、東海大五高(福岡)とルーテル学院高(熊本)が激突。東海大五が3-0で快勝し、夏の強化の場として新設された「adidas cup in Fukuoka」の初代王者に輝いた。

 東海大五はこの夏から新たに打ち出したハイプレスによって「adidas cup in Fukuoka」全4試合完封勝利。平清孝総監督が「前線からプレスをかけてという形に切り替えてから、得点は1点に終わっても、守り切れるというか、攻め切れるというか、そういうイメージができている」と語ったように、決勝でも東海大五は前線からのプレッシングによってルーテル学院のパスコースを断ち切って思うような攻撃をさせなかった。

 これまでは「まったりが多かったですね。ボール持ってかわしてシュートではどうしても潰される場面が多かった。そこで早い段階でボールを持って速く行こうかと」と取り組んだハイプレス。最終日は35分ハーフで涼しかったということもあったが、それでも走り切った。同じく走力を武器とするルーテル学院・小野秀二郎監督も「プレッシングに対する全員の意欲感というか、モチベーションが向こうの方が上だった。襲い掛かって、奪うんだというような」と東海大五との差を口にし、「それに対してウチは冷静に剥がすとか、プレスに来たやつの背中を取るとか、それをずっと言っていたけれど舞い上がってできない。疲れてできない」と力を出せなかったことを残念がった。

 最終的に3点差がついたが、ルーテル学院にも十分に勝機はあった。今大会初戦で4ゴールをたたき出しているFW馬場直樹が相手の脅威に。セカンドボールに鋭く反応し、ドリブルで一気にゴールへ迫って利き足と逆側の左足でも強烈なシュートを打ち込んだ。そして1年生MF江崎巧朗と強いキャプテンシーでチームを引っ張るMF今吉晃平のダブルボランチ中心に東海大五に食い下がる。だが、東海大五は期待の2年生FW及川翔五や幅広い動きで貢献していた右MF大久保健弥が相手のプレッシャーを剥がしてゴールへ近づいて行く。試合開始直後に「キックにミスがないし、身体の入れ方も速い」と平総監督が推すCB高橋健の左CKをファーサイドから飛び込んできた注目CB山内一也が先制ヘッドを決めた東海大五は1-0で前半を折り返した。

 後半、いくつかいい形でサイドにボールが入るシーンのあったルーテル学院は馬場のドリブル突破などからチャンスをつくり、馬場やFW上江啓太がシュートを打ち込むが、素早い飛び出しなどで要所を締める名手・GK鈴木透や山内、高橋の壁を破ることができない。逆にボランチの位置からドリブルで仕掛けるMF江崎響太朗主将や交代出場の快足FW西村仁志、1年生MF橋本祐汰がゴールに迫る東海大五は26分、左サイドを突破した及川のラストパスが相手オウンゴールを誘って2-0。さらに終了間際にもMF石原光一朗の折り返しに山内が飛び込むと、ルーテル学院DFはクリアしきれず、3点目が生まれた。

 後半はサイドの高い位置にボールが入り、いい形の攻撃も見せていたルーテル学院だが、接戦を落として悔しい準優勝。小野監督は「ああいう局面つくりながら、後半さらに残り10分頑張ること」と成長を促し、馬場は選手権へ向けて「いい守備をしていい攻撃に繋げるというのがこのチームのテーマ。大津高校が熊本では抜けていますし、自分たちも今年はベスト16以上に行けていないのでまだまだ練習しなければいけない。謙虚にやっていく」と力を込めた。

 一方、福岡の名門・東海大五にとってはこの優勝が今年初のタイトル。山内は「チームとして初のタイトルを狙っていた。なんでもいい、タイトルが欲しかったので得点という形で貢献できて良かった」と笑顔を見せ、江崎は「このチームになって初タイトルということで、これからプリンスも始まりますし、選手権に向けてまたひとつずつチームで努力して、これを機にまた成長して行こうと思います」とこの優勝を弾みにすることを誓った。

 今年は総体予選準決勝で全国制覇した東福岡高に1-8で大敗。失点しても守りに入ることなく攻め続けた結果の大敗だったが、ショックは大きかった。だが、その大敗がチームの意識を変えている。江崎は「インハイは1-8だったし、しかもヒガシは優勝しているし、選手権でしっかりリベンジしたい。ヒガシは一人ひとりの能力もそうだし、決めるべきところでしっかり決める。自分たちは決定力のところでまだヒガシよりも劣っているので、選手権では決めるところしっかりと決めていきたい」と語り、山内は「史上初のあんな負け方をしたので名誉挽回できるように今やっています。どん底におちて、一からチームとしてやってきました。チームで声を出す人が多くなりましたし、試合中に1試合1試合にこだわるようになってきました。夏、恥ずかしい負け方しているので選手権では死にもの狂いで勝利したいです」と雪辱を誓った。

 この夏、差は縮まったか? という問いに対して2選手は「まだまだ」と口をそろえる。それでも平総監督が「あれ(総体予選の敗戦)で何かひとつ吹っ切れた」という東海大五。今後は「adidas cup in Fukuoka」の初代王者へ導くなど結果を出してきているハイプレスの精度を高め、ライバル相手にも前後半やり切れる武器にする。タイガー軍団・東海大五が自信を得たこの夏からさらに成長して雪辱の秋を迎える。

(取材・文 吉田太郎)

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