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[国体少年男子]「断然多い」強化活動で磨かれたチーム力と歌って上げるテンション、兵庫県が石川県に逆転勝ち!!

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[9.29 国体少年男子準々決勝 石川県 1-2 兵庫県 上富田スポーツセンター多目的グラウンド]

 U-16年代で争われる第70回国民体育大会「2015紀の国わかやま国体」少年男子サッカー競技は29日、準々決勝を行い、12年大会優勝の兵庫県が06年大会以来となるベスト4進出を狙った石川県に2-1で逆転勝ち。神奈川県と戦う準決勝進出を決めた。

 青森県、静岡県という強豪を連破して勝ち上がってきた難敵・石川の前に苦しんだ。180cmの長身ボランチ、MF川渕陸(星稜高2年)や危険な香りを漂わせていたMF千葉東泰共(鵬学園高2年)ら早生まれの2年生7人が先発した石川はゴール前での守りが非常に堅く、兵庫は立ち上がりにMF佐藤昴(神戸U-18、1年)が意表を突くロングシュートを放ったが、バックステップを踏んだ石川GK新保大夢(星稜高1年)に阻まれ、切り替え速い攻守から佐藤のアイディアあるパスや左右両サイドからのロングスローなどもアクセントに攻めるも、先制点を奪うことができない。対する石川は前からのディフェンスと引いて守る部分を上手く使い分けながら試合を進めると前半アディショナルタイム、ゴール前での連続攻撃から相手の連係ミスを逃さずに千葉東がPKを獲得。これを主将のMF村上達哉(星稜高2年)が右足で豪快にゴールへ叩き込んで先制点を奪った。

 兵庫は後半、視野の広さとボールコントロールで違いを示す佐藤と右サイドを繰り返しアップダウンするSB前川智敬(神戸U-18、1年)のホットラインがチャンスメーク。また、11分には左サイドから強引に仕掛けたMF持井響太(滝川二高2年)がシュートへ持ち込むなど反撃する。だが、19分にFW今岡陽太主将(大阪桐蔭高1年)が抜け出しかけたものの、鋭い飛び出しを見せたGK新保がクリア。逆に石川はボールを奪ってから千葉やFW堀田佳佑(金沢U-18、2年)ら前線の推進力を活かして2点目を奪い取ろうとする。
 
 それでも兵庫は後半22分に同点に追いつく。右サイドから左サイドへボールを動かしてSB宮田健太郎(神戸U-18、1年)が後方から左足でアーリークロスを入れると、直前のセットプレーから攻め残っていたCB上出直人(滝川二高1年)がニアサイドで跳躍力活かした打点の高いヘッド。これがゴールへ突き刺さり、同点ゴールとなった。「オレが点決めて勝つ」とサポーターと約束していたという上出は応援席に飛び込んで歓喜を爆発。追いついた兵庫は勝ち越し点を目指して分厚い攻撃を繰り出す。一方、石川も速攻からゴールに迫るシーンをつくるが、兵庫はこれを封じるとアディショナルタイム突入後の37分、佐藤がクロスバー直撃の右足ミドル。このこぼれ球を拾った今岡がPKを獲得する。そして緊張感高いPKを持井が「めっちゃ緊張しました。GKを見て(動くのが)ちょっと早かったので」と右足でGKと逆側のゴール右隅へ沈めて決勝点。「個ももちろん高いし、一丸となれる力がある」(持井)という兵庫が2-1で競り勝った。

 兵庫は県選抜チームのOB・日本代表FW岡崎慎司にもアドバイスをもらったという3月のドイツ・オーストリア遠征からここまで60回近く強化活動。小森康宏監督(滝川高)が「いろいろなチームにお願いして、迷惑かけながら、やりくりしながらやったんですけど。(活動回数は)断然多いんじゃないと」という「本気の」強化活動の中で約60人の選手を招集してチームをつくってきた。加えてこのチームのモチベーションの高さは特別だ。試合会場ではウォーミングアップ前から非常にテンションが高く、異彩を放っている。「(移動)バスの中でみんな全員でずっと歌うんですよ、30分間ずっと。テンションマックスでバス降りてアップしている。(兵庫は例年試合直前に歌を歌っているが)今年は昨年よりも元気よく歌う。それでスイッチ入れるみたいなところがある」(上出)。この日、「ベスト4がけってどんな大会でも熾烈」という小森監督から「決勝戦のつもりでやれ」とメッセージを受けていたチームは先制点を奪われても攻め続けて準決勝への切符を勝ち取った。。

 国体では3位決定戦も開催されるため、準決勝へ進出したことでチームはあと2試合戦うことができる。それでも、上出は「2試合できると思うんじゃなくて、あした絶対に決勝に行くって気持ちでやりたい。みんな『日本一取る』とずっと言っているし、『日本一取るチーム』とずっと言われているし、『日本一取るぞ』と監督も言っているので、その期待に応えられるようにしたい」と意気込んだ。指揮官が「決定機をなかなかつくり切れていない。サポートの質を上げていかないといけない」と語ったように課題はまだあるが、どこよりもチームづくりに時間をかけ、ムードも非常にいい兵庫が一発勝負で再び力を発揮して決勝進出を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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