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[選手権予選]花巻東の注目FW谷村海那、抜群の素材感披露して2ゴールも全国届かず・・・:岩手

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[10.27 全国高校選手権岩手県予選準決勝 花巻東高 2-5 遠野高 盛岡南公園球技場]

 素材感溢れる注目FWは岩手準決勝で敗退となった。花巻東高のFW谷村海那主将(3年)は下級生時から花巻東の10番を背負う絶対的なエース。1年前の準決勝で大いに苦しめた遠野高との再戦となったこの日、相手が警戒する中で2ゴールを叩きだした。0-1の前半21分、左サイドからの縦パスに反応すると相手CBの前に強引に入り込み、バウンドしたボールを左足ループシュート。鮮やかな同点ゴールを決めると、1-2の後半10分にもDF背後へのボールを引き出して抜け出し、右足で再び同点ゴールを決めた。遠野にボールを支配されて攻め込まれる中、数少ないチャンスを活かして決めた圧巻の2発。だが、この同点ゴール直後に三度突き放されたチームは2-5で敗れた。
 
 兄は山形から盛岡へ育成型期限付き移籍中の元U-18日本代表MF谷村憲一。弟は代表歴なく、関東1部リーグの強豪大学へ進む予定だが、180cmの長身FWのポテンシャルは非常に高い。強豪相手でも1、2人のプレッシャーならば軽くいなしてしまう強さとテクニック、そしてDFを瞬時に振り切るスピードと決定力。本人も「切り替えの速さと守備が課題」と認めるように課題も多々あるが、球際に深く行ける部分、周囲を巧みに活かせる部分なども持ち合わせる非凡なタレントだ。

「花東で全国行こうと思って入った。まだ自分入るときには名がなかったので自分が強くしてと思っていた」と全国経験のない花巻東へ進学。チームを2年連続で県4強まで引き上げたが、全国には手が届かなかった。それでも「今のみんなとサッカーできて楽しかったし、悔いはないですね」。昨年は負けた後に悔しさのあまり、泣き崩れて挨拶に加われないほどだった。だが、今年は「キャプテンとして最後までみんなをまとめなければいけない」と悔しがるチームメートを応援団の下まで連れていき、挨拶。白瀧慶監督が「大人になった。みんなのことを気遣って。心も立派になった」と認める精神的な成長も見せていた。

 本人が「結果が全てだから、結果を残さないと上にも行けない」と語ったように高校からプロへ進むことはできなかったが、大学を経由してプロになる目標がある。「ドリブルでシュートまで行って、やりきるところをどんどん伸ばしていきたいです」と誓うFWについて白瀧監督は「レベル高い中でやればもう一段階、二段階伸びる。(プロ入りを)期待しています。彼なら大丈夫」と太鼓判。「守備と攻撃どっちもできて、前だけどトップ下とかゲームをつくれる選手に。G大阪の遠藤選手みたいな選手になっていきたい」という岩手の逸材は、大学サッカーのステージで高校時代にできなかった高いレベルで結果を出すことにこだわる。

[写真]前半21分、花巻東はFW谷村が同点の左足シュート

(取材・文 吉田太郎)
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