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[MOM1546]都市大塩尻MF青島友輝(3年)_タイミングを逃さないパス出しで得点機演出

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[10.31 全国高校選手権長野県予選準決勝 東海大三高 0-3 都市大塩尻高 アルウィン]

 自慢の左足で得点機を演出した。攻めあぐねた前半の反省を生かし、後半はチームの持ち味であるパスワークの心臓として機能。後半2分、MF青島友輝が左足で鋭い縦パスを入れると、左DF岡村和紀がワンタッチで中央へつなぎ、右MF平林裕葉が先制ゴールを決めた。岡村は「サイドハーフが開いたので、中が空いた。基本的にサイドバックは(サイドMFの)外を回るけど、相手の意表を突いて走ったら、青島から良いパスが来た」とややイレギュラーな形のオーバーラップだったことを認めたが、青島はこの動きを逃すことなく「セットプレーも含めて、(パスを受ける選手が動いた)タイミングに合わせてパスを出すプレーは、自分の武器」という左足からのパスで、見事に生かした。

 さらに言えば、青島が敵陣までスッと入っていたことも効いた。都市大塩尻のサッカーの特徴は、敵将である東海大三の和田恵太監督が「2列目、3列目……4列目まであるんじゃないかと思わされるぐらい、とにかく人が湧いて来るサッカー」と評する機動力に富んだ攻撃だ。そのタクトを振るうのが、左腕にキャプテンマークを巻いて中盤の底に構える青島だ。球さばきが得意なボランチは足が止まりがちだが、青島は攻守に動く。先制点の場面での動きに関しては「FWにボールが入ってから、自分たちボランチがFWの後ろじゃなくて横でもらうことで、相手のボランチを置き去りにして、そこにサイドハーフやサイドバックが入って来て、最後は中でフィニッシュという形はずっとやってきた。練習が上手くいったと思う」と手ごたえを話した。

 青島は、下級生の頃から能力の高さを買われ、試合で起用されてきた。最終学年で迎える選手権は、集大成の場となる。高橋裕之監督は「彼はキャプテンになって、個性のある3年生をまとめて来て、自信になったのではないかと思う。選手権予選が始まる前までは、少し物足りなさがあったけど、大会が始まってからはしっかりとしてきた。ゲームの中でガンガン声をかけるようになった。彼自身が、1、2年の頃に試合に出て、先輩たちのために何もできなかった悔しさということを最近は多く口にするようになっている。その執念が出て来たのではないかと思う」とリーダーシップの変化を感じ取っている。

 4歳年上の兄の康太も全国大会には出場したが、初戦で涙を飲んだ。先輩の分まで、兄の分まで、全国大会で勝つために、県予選の連覇は絶対条件だ。プレーで引っ張り、気持ちでも引っ張れる真のキャプテンとなって、夢をかなえたい。青島は「昨年は、全国大会に行って、自分も含めて多くの2年生がピッチに立っていたけど、先輩たちの期待に応えられなかった。自分たちがあの舞台に戻って勝つことが恩返しだと思っている」と最後の選手権にかける思いを明かした。全国大会まで、あと1勝だ。

(取材・文 平野貴也)
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