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[プレミアリーグWEST]残留をかけた大一番。最下位・名古屋U18がセットプレー2発で履正社に逆転勝利

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[11.22 高円宮杯プレミアWEST第16節 履正社高 1-2 名古屋U18 履正社高G]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プレミアリーグWEST第16節2日目が22日に行われ、8位・履正社高(大阪)と勝ち点5差で10位の名古屋グランパスU18(愛知)が対戦。試合終盤に2得点を奪った名古屋が逆転勝利をおさめた。

 大阪府予選の準々決勝で敗れ、選手権出場を逃した履正社に対し、名古屋もJユースカップを準優勝でフィニッシュ。ともに残るターゲットはプレミア残留のみという状態で、この一戦を迎えた。立ち上がりこそ、互いに探り合いが続いたが、「うちの方が先に負けているので、ショックから立ち直る期間があった。なので、前半は主導権を握れると予想していた」(DF安田拡斗)という読み通り、次第に履正社のペースに傾く。前半11分に左CKを獲得すると、MF牧野寛太がゴール前にクロスを展開。MF林大地の折り返しを、FW西村光明が合わせて試合を動かした。

 反撃に出たい名古屋は、履正社のDF裏にロングボールを入れることで、好機を見出そうとしたが、「ボランチが下がりすぎたせいで、長い距離のパスになり、相手の裏に入っても走る距離が長くなり、追いつけていなかった」(高田哲也監督)。中盤が間延びしたことで、DFが弾いたセカンドボールも拾えず、前半に放ったシュートはわずか2本。それでも、23分には左サイドをMF深堀隼平、FW森晃太と繋いで、ゴール前に速いボールを展開し、FW北野晴矢がフリーで受けたが、安田の素早い寄せに合い、シュートが打てず。こぼれ球に反応した深堀の一撃も、枠を捉えることができない。

 履正社の1点リードで迎えた後半も、流れは変わらず。中盤でのボール奪取率で上回る履正社が流れを掴むと、17分にはエリア中央からDF大迫暁がミドルシュートを狙ったが、枠を捉えることができない。18分にも牧野のスルーパスから、MF田中駿汰がPA右に進出。シュートは飛び出したGKの脇を抜けたものの、DF加藤直生のスライディングに阻まれた。

 耐える時間が続いた名古屋の転機は、高田監督が「ただボールを配っているだけではなく、前で仕事をしないといけない2人」と評するMF川崎健太郎梶山幹太のボランチコンビの変化。同点を奪うために、高い位置でのプレーが増えたことで、セカンドボールが拾えるようになり、試合の流れを引き寄せた。34分にはドリブルを仕掛けた森がPA左で倒され、FKを獲得。自ら直接狙ったキックが、ゴール右に吸い込まれ、試合は振り出しに。後半42分にも、森が引き気味の位置でパスを受けると、途中出場のMF杉田将宏とのワンツーでゴール前に進出。左下を狙ったシュートは惜しくもGKに弾かれたが、素早くCKをゴール前に蹴り込むと反応したのは、MF田中彰馬。PA中央から頭で合わせた一撃がゴールネットを揺らした。「正直、ヘディングが苦手。中学3年生以来、人生2回目のヘディングゴールなので、自分でもビックリした」と本人も驚く一撃が逆転ゴールとなり、試合はそのままタイムアップ。名古屋が、貴重な勝ち点3を得た。

 Jユースカップの決勝で受けた警告が原因で、この日の名古屋はDF吹ヶ徳喜が怪我、MF池庭諒耶が出場停止。本職はサイドアタッカーである田中を右SBに配置するなど、厳しいやりくりを余儀なくされた。試合内容としても、決して楽ではない展開とあり、試合後の高田監督「このメンツでよく凌いでくれた。今日、勝てたことは大きい」とホッとした様子だった。

 とはいえ、まだ順位は降格圏内。残留に向けて、気の抜けない戦いは続く。「Jユースカップから始まって、今日で8連戦。そのうちアウェーで6回戦っている。緊張感がある中で、ゲームができるのは彼らにとって大きいけど、少しずつ疲労が出てきている」と高田監督が話すように、不安はゼロではない。次戦は森が出場停止になるなど悩みは絶えないが、「気合とか根性を格好悪いと出さない奴らだから、『そんなこと言ってる場合じゃねぇだろ』ってハッパをかけて、やるしかない。そんな中で、ちょっとずつ我慢強くなってくれれば、次の進路に行っても大きい。下級生もちょっとサッカーが上手いだけでは通用しないってことが分かってくれるはず」と苦しい状況だからこそ、得られる成長の機会でもある。残り2戦も、勝利を引き寄せられるか期待したい。

(取材・文 森田将義)
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