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こぼれ球引き寄せMOM…広島MF柏「今日はボールが来た」

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[12.2 チャンピオンシップ決勝第1戦 G大阪2-3広島 万博]

 後半24分から途中出場した168cmの小柄なアタッカーが大逆転勝利の立役者となった。サンフレッチェ広島は0-1の後半24分、2枚目の交代カードを切り、MFミキッチに代えてMF柏好文を投入。劇的な決勝点を含む2ゴールに絡む活躍を見せ、マン・オブ・ザ・マッチ(MOM)に選ばれた。

 0-1で迎えた後半35分、FW浅野拓磨のシュートが左ポストを叩くと、跳ね返りが柏の足下へこぼれてきた。すかさず右足でシュート。これをゴール前のMFドウグラスが頭で角度を変え、ゴールネットを揺らした。

「アウトにかけて思い切りシュートを狙った。それを(ドウグラスが)とんでもない身体能力でコースを変えてくれた」

 1-1の同点に追いついた広島だが、その1分後にセットプレーから再び勝ち越しを許す。それでも後半41分にG大阪DFオ・ジェソクが一発退場となり、数的優位に立つと、後半アディショナルタイム1分にFKからDF佐々木翔が同点ヘッド。そして後半アディショナルタイム6分、ゴール前混戦の中、こぼれ球を柏が右足で蹴り込んだ。

「こぼれてこいとは思っていたけど、よくこぼれてきた。1点目もポストに当たったボールが自分のところにこぼれてきて……。今日はボールが来た」

 こぼれ球を引き寄せたのは運か、ゴールへの執着心か。第2ステージは開幕から12試合連続で先発していた柏だが、9月に左膝内側側副靭帯を損傷し、シーズン終盤に戦線離脱。11月11日の天皇杯4回戦・徳島戦(2-1)に先発し、実戦復帰を果たしたが、この日は11月22日の第2ステージ最終節・湘南戦(5-0)に続いて途中出場だった。

「相手は疲れていたし、仕掛ける姿勢、積極性を出していこうと思った。途中から出た選手が決定的な仕事をするチームが強いし、それが今年の広島だと思う。いい仕事ができたと思う」

 昨季、甲府から2連覇中だった広島に完全移籍で加入したが、リーグ戦は8位に終わり、3連覇を逃した。ナビスコ杯も決勝でG大阪に敗れ、準優勝。移籍1年目でタイトルを手にすることはできなかったが、いよいよリーグタイトル獲得が見えてきた。「こういう思いをしたくて移籍してきた。それを実現できるようにしたい」。5日、ホームでのチャンピオンシップ決勝第2戦。先発も途中出場も関係なく、チーム全員で2年ぶりのリーグ王者へ突き進む。

(取材・文 西山紘平)

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