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[プレミアリーグEAST]鹿島ユースが初V!“優勝決定戦”でも走って、戦って、紙一重の攻防で上回る!

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[12.6 高円宮杯プレミアリーグEAST第18節 市立船橋高 1-2 鹿島ユース グラスポ]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プレミアリーグEASTは6日に最終節を行い、船橋市法典公園(グラスポ)球技場では首位の鹿島アントラーズユース(茨城)と3位・市立船橋高(千葉)が激突。右SB戸田拓海の決勝ゴールによって2-1で勝った鹿島が2位・青森山田高(青森)を勝ち点1差で振り切り、初優勝を果たした。鹿島は12月12日のチャンピオンシップ(埼玉)でプレミアリーグWEST優勝のガンバ大阪ユースと高校年代日本一を懸けて戦う。

 引き分けでも優勝を逃す可能性のあった最終節。鹿島は熊谷浩二監督が「子供たちがすごく成長してくれているのは改めて感じました」と評したように、選手37名と熊谷監督をはじめとするスタッフ5名で目指してきたことを全員で表現して自力で優勝を勝ち取った。この日はアウェーの“優勝決定戦”に多くのサポーターが参戦。指揮官は「アウェーですけどたくさん見に来てくれて、前節もホームだったんですけど非常にたくさんのサポーターに入って頂いた。来てくれて嬉しいのと同時に、何かしら足を運びたくなるようなものが、もしかしたら子供たちの中にも熱量というか、伝えられるものができてきているのかなと感じます」と、人々を惹きつけるような熱い戦いを貫いた選手たちに目を細めていた。

 前節、ホームで首位・青森山田との首位決戦を制して初優勝に王手を懸けた鹿島は、トップチーム昇格が決まっているU-18日本代表候補のエースFW垣田裕暉が累積警告のために出場停止。一方の市立船橋は前節のドロー(対柏U-18、0-0)で優勝の可能性が潰えていたが、左SB古屋誠志郎が「前回の対戦で負けているんで『同じ相手に2回負けるのはありえない』『勝たないと何も示せない』と言われていた。勝っていい形で終わろう言っていた」と語ったように、白星をもぎ取りに行った。負傷から回復途上のU-18日本代表FW永藤歩(モンテディオ山形内定)は先発を外れたものの、ベガルタ仙台内定のMF椎橋慧也主将やMF工藤友暉中心に序盤からボールを支配して相手を押し込んだ。

 4分、市立船橋は1トップに起用された2年生FW矢野龍斗が胸トラップから左足ミドル。10分には左サイドからの攻撃で相手の背後を取り、工藤のスルーパスにMF押尾大貴が反応する。鹿島はこれをU-18日本代表CB町田浩樹(トップチーム昇格)がカバーして得点機を阻止したが、球際で怯まず、上回る回数も多かった市立船橋はバランスのいい攻守でゲームをコントロール。14分にはU-17日本代表CB杉岡大暉がドリブルで単騎PAまで持ち込むシーンもあった。鹿島はベンチの熊谷監督から再三「見るな!」の声。優勝のかかった試合で選手たちが硬くなり、出足が鈍ってしまっていた。受け身な展開だったが、MF千葉健太主将が「悪い流れというのを察することのできる選手が多くて、それが全体に声だったりで共有して、アクションを起こすことができてきている」という鹿島は自分たちからアクションを起こして立て直す。前半終盤はセットするディフェンスに加えて、10番MF田中稔也(トップチーム昇格)やMF吉岡樹利也、FW武田諒太、MF西本卓申らが前からがむしゃらにボールを追う持ち味も出て、少しずつ流れ引き戻すことに成功。40分には左サイドで千葉が身体を張ってマイボールにすると、MF平戸太貴(トップチーム昇格)が右足ミドルを放つ。相手左SBの古屋に危険なパスを通されるシーンも続いたが、これは町田の好カバーなどで阻んで前半を0-0で終えた。

 すると後半、田中が「(前半の終盤は)前からプレスをハメて行っていって自分たちからアクションして良くなった。前線で監督からももっとアクションしていけと言われていたので、後半は最初から前からガツガツいってプレッシャーをかけようと思っていた」と説明するようにギアを上げた鹿島が、開始直後にスコアを動かした。4分、敵陣右コーナー付近での攻防から強引に飛び出した戸田がゴールライン際のボールを諦めずに追い、ギリギリのところからクロスを放り込む。これをファーサイドの左SB大里優斗がDFに囲まれながらも必死に折り返すと、身体を投げ出すかのようにゴール前へ飛び込んできた吉岡がGKにファウルされてPK獲得。これを平戸が右足で蹴りこんで先制した。

 だが、市立船橋は8分、工藤の右CKをニアサイドに飛び込んだ杉岡がヘディングシュート。豪快な一撃であっという間に同点に追いついた。市立船橋は直後にも古屋の突破を起点に相手の守りを崩し、最後はGK石川碧人の好守に阻まれたものの、工藤が右足でフィニッシュ。そして20分、市立船橋が永藤を投入すると、鹿島も後半開始から出場していたFW石津駿斗に代えて切り札のFW色摩雄貴を送り出し、さらにDF中野純をCBに入れてCB松浦航洋のポジションを前に押し出す。

 互いに仕掛け合った中で勝ち越しゴールを奪ったのは鹿島の方だった。26分、左サイドの競り合いで色摩が必死に粘ると、混戦を抜けだした左SB大里がGKとの1対1から右足を振りぬく。これはGK岩佐大輝が懸命にブロックしたが、舞い上がったセカンドボールをPAまで詰めていた右SB戸田がDFと競りながらヘディングシュート。これがゆっくりとゴールラインを越えて鹿島が勝ち越した。大興奮の戸田はベンチに向かってダッシュすると、ベンチから飛び出してきた選手たちとタッチライン際で歓喜の抱擁。先制PKをもたらしたシーン同様に、紙一重のプレーから生み出したゴールに千葉は「『細かい、紙一重の部分が勝敗を分けるぞ』と監督も言っていて、その通りになった。そこで一歩頑張れるか、相手よりも一歩先に出られるかというのがウチの強味でもあると思う。それが2点とも出たと思います」と胸を張った。

 苦しい序盤を乗り越えて追いつかれても再び突き放した鹿島はその後も、色摩を中心とした攻撃やセットプレーから決定機をつくり出す。中盤でスプリントを繰り返した平戸が「鹿島ユースの良さは一人ひとりが走って、攻守の切り替え速くして、球際競ってというのが良さで、それを当たり前にやらないと試合に出れないというのがある。『アイツが走っているからオレもやらないといけない』と思うし、それをみんなのことを考えて、チームのことを考えて、そういうプレーが(自然に)出るというのがあります」というチームは最後まで仲間のために走りきった。そして最後の局面で相手の守りを破る部分を欠いていた市立船橋の反撃を振り切った鹿島が、歓喜の初優勝。エース垣田不在の穴を全員で埋め、それぞれが力を出し切って掴んだ充実の白星だった。

 だが、戦いはまだ終わりではない。一週間後には日本一を懸けてG大阪と戦う。町田は「自分たち37人プラススタッフ5人。42人は絶対にまとまって一人も欠けないで戦おうという話をしていた。このユースでの3年間の積み重ねを最後の1試合で全員で発揮できたらいいと思います」。また、熊谷監督と出会って考え方を変えることができたという千葉は「自分では頑張っていたつもりでも、熊さん(熊谷監督)に出会って、その頑張りはちっぽけなことで、もっともっとやっている人は周りにいて、もっともっと違う考えを持っている人はいて、そういう人がプロの世界でも成功しているということを教えてくれた。絶対に胴上げできるように。スタッフ5人全員胴上げできるように頑張ります」。仲間たち、スタッフ、サポーター、全員の力を結集してあと1勝。そして埼玉スタジアムでのチャンピオンシップを歓喜の胴上げで終える。
 
(取材・文 吉田太郎)
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