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[大学選手権]市船時代に続く日本一ならずも、名古屋入り明治大FW和泉「後悔はない」

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[12.16 全日本大学選手権準決勝 明治大2-4関西学院大 NACK]

 涙は流れなかった。明治大(関東2)は関西学院大(総理杯/関西1)に2-4で敗れると、決勝進出はならずに4強で散った。来季の名古屋グランパス入団を内定させているFW和泉竜司(4年=市立船橋高)は、主将として日本一に導いた市立船橋高時代に次ぐ、戴冠は果たせなかった。

 それでも試合後はさっぱりとした表情をみせた。「コーチや監督の話を聞いたときは涙が出そうでした。でも悔しい思いはありますが、正直やりきったという気持ちがあって涙は出なかったです」と言う。「4年間、上を目指してやってきて。神川(明彦)さんも言ってましたけど、『後悔はない』です。僕個人としても後悔はない」。敗戦による悔しさは募ったが、必死に過ごした4年間に悔いはなかった。

 この日の試合では2トップの一角として先発。コンディションは上がらず、2回戦・中京大戦で第4中指骨骨折した箇所は痛々しくテーピングを巻いたまま。競り合いの際は、右手を使いづらそうにしているシーンもあった。

 それでもエースとして仕事は果たした。0-2で迎えた前半27分には、左サイドから攻め込むと中央へ柔らかなボールを折り返す。DF室屋成(3年=青森山田高)のゴールにつながった。同37分には自らゴール。MF道渕諒平(3年=仙台ユース)のシュートがGKに弾かれると、こぼれを拾って左足シュート。3戦連続弾で2-2に追いついた。後半に失点すると2-3で敗れたものの、明治大の和泉として存在感はみせた。

 明治大での4年間を振り返ったFWは「個人としてすごく成長させてもらった」という。だからこそ「キャプテンとして日本一に導きたいという思いは強かった」と唇を噛んだ。

 和泉は後輩たちへ「3年間こういう悔しい経験をしてきて、4年目でまたこういう思いをした。毎年そういう思いをしているけれど、優勝できない部分はなぜなのか。もっと一人ひとりが考えて。優勝できない要因だったり、自分たちの弱さだったり、足りない部分は負けた試合に出る。そういうのをしっかりプラスに捉えて、もっと強くなって欲しい」とエールを送る。

 今後、自身は名古屋でプロとしての一歩を踏み出す。「こういった悔しい思いを4年間したので。それを忘れずに個人としてもプロになってからも、優勝を目指してやりたい」と強く誓った。高校時代に知った日本一の味。明治大では苦汁をなめたが、名古屋で再び喜びとともに噛み締めるつもりだ。

(取材・文 片岡涼)
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