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[MOM1652]尚志DF茂木星也(3年)_帰ってきた主将が渾身の一撃、「強烈なFW」からのエールに「優勝したい」

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 尚志高 1-0 京都橘高 駒沢]

 試合終了の笛が鳴り響くと、尚志高の主将であるCB茂木星也(3年)は、京都橘高のU-18日本代表FW岩崎悠人(2年)の下へ歩み寄った。そして下を向いて悔しがる相手の2年生エースの肩を抱くと、言葉をかけながら整列へと向かった。「『ありがとう』と言って。『優勝してほしい』と彼にも言われたので、橘の選手の思いを背負って駒澤(大高、2回戦で対戦)にも絶対勝って優勝したい」。日本一への思いはまた強まった。

 東北の雄、尚志の主将は苦しんできた日々の思いを選手権のピッチでぶつけた。8月12日に膝を手術して長期離脱。選手権開幕前には足首を負傷するなどピッチを離れることが多かった。「チームとして欠かせない人物がいないというのはマイナスな影響を与えていたかなと、このケガで思った。今までの分、取り返そうという思いでこのピッチに立ちました」。前半13分には右CKにファーサイドへ飛び込むとDFの頭上から豪快なヘディングシュートを叩き込んだ。すると渾身のガッツポーズで走りだし、歓喜の雄叫び。「セットプレーが大事になる。一本目で決めることができて士気を上げられたと思います」という一撃でチームを奮い立たせた。

 そして守備面では今大会注目の快足ストライカー、岩崎相手に奮闘。「岩崎くんが強烈なFWだったので自分がなんとしても止めないと思っていた」という茂木はCB井出隼人(3年)とのコンビで要注意人物に自由を与えず、またボランチとの挟み込みで相手の攻撃をスピードアップさせなかった。空中戦でも強さを発揮する岩崎と渡り合い、試合終盤は相手の猛攻の前に決定機を作られたが、最後まで食らいついて思い通りにシュートを打たせなかった。粘り強くゴールを守り続けた主将を中心とした魂の守りによって尚志が1-0で勝利。ケガ上がりでスタミナ面に不安があり、先発起用について仲村浩二監督は「賭けの部分があった」というが、主将は「監督には今まで迷惑かけた。使うかどうか迷っていたとおっしゃっていた。恩を返すために一本決められてよかった」と指揮官、チームへの恩返しのゴール、1勝を喜んだ。

 茂木不在時にキャプテンマークを巻くMF佐藤凌輔(3年)は茂木について「ファイターなのでプレーで引っ張ってくれる部分が大きい。後ろから声とかプレーで落ち着かせてくれている。あんまり、面白いやつではないですよ(微笑)。『キャプテン』というタイプですね」と説明し、「自分がキャプテンマーク巻くときも、茂木に巻いてもらって『オマエが締めろよ』と言われていた」と明かした。リーダーとしての強い責任感。仲村監督が「いつも吠えている。闘争心がある。キャプテン怖くて、みんなイジれないんじゃないかな」と苦笑するほどマジメな主将は、厳しい指摘も躊躇なくしながら、佐藤たちとともにチームを成長させてきた。チームのために叫び、戦う主将が仲間たちとともにこの冬、尚志の快進撃を実現する。

(取材・文 吉田太郎)
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