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ベースを再認識し、スタイルチェンジに臨む松本

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[3.6 J2第2節 横浜FC 0-2 松本 ニッパツ]

 松本山雅FCは6日に行われたJ2第2節で横浜FCを破り、今季初勝利を挙げた。試合開始1分も経たないうちに、FW山本大貴のゴールで先制すると、前半35分にもCKからDF飯田真輝が追加点を挙げた。後半は横浜FCに9本のシュートを浴びたが最後まで体を張った守備を見せて完封した。

 試合後、「公式戦の勝利は久しぶり。(私は)何百試合とやってきている人間ですが、ゲームに勝つことの喜びを今日はすごく感じることができて、また次に向けて頑張りたいなと、思いました」と、反町康治監督は目を細め、0-1で敗れた開幕戦の熊本戦からチームが前進したと続けた。

「今日は選手が自分たちで考えるところとか、天候に大きく左右されるところとか、先制した後の戦い方とか。ベンチを気にせず、自分たちで考えて進めるようなところを含めて、少しうれしい収穫でした。早い時間に先制できたことは、ゲームをコントロールする上で大きかったと思います。開幕戦で、まったりした試合をしてしまったので、『今日はまったりしたらいけないよ』と。開幕戦で良い教訓を得たので、それを出すことができたのは良かった」

 今季の松本を追いかけるのは、かなり楽しいのではないだろうか。これまでロングボールを放り込むパワープレーのような攻め方や、セットプレーなど、他のクラブがワンポイントで使うような戦い方を主にしていたチームは、大きく戦い方を変えようとしている。チームにはMF宮阪政樹、MF武井択也、DF安藤淳といったボールを動かせる選手たちが加入した。昨季途中から加入しているMF工藤浩平や、この試合でもウイングバックの位置から切れ味鋭いドリブルを見せた安藤淳が構成する中盤は魅力的だ。まだ試合をこなしながら互いの特徴を把握している段階ではあるが、連係が高まって行けば、これまでの松本とは大きく異なるサッカーが見られるようになるだろう。

 だからこそ、この日の勝利は大きい。工藤は、「自信を持ってやれれば、面白い選手がそろったと思います。チームがやろうとしていることを変えていく中で、自信をもってやっていくことが結果にもつながっていくと思います。そういう意味でも、2節で勝てたというのは大きいですね。(戦い方を)変えながら勝って行くことはなかなか難しいですが、FWが点を取ってくれましたし、セットプレーから取れたので、ノッていけるかなと思います」と、この勝ち点3の意味を語った。

 昨季、クラブ史上初めて戦ったJ1では、苦しい戦いを強いられた。J1復帰を目指すチームは、同時にそこで戦えるだけの力を蓄えなければいけない。ボールをつなぎ、受けられる選手たちが集めたのは、そのためのスタイルチェンジに踏み出すためでもある。

 その重要性を理解しながらも、DF田中隼磨は、スタイルチェンジが最優先になってはダメだと強調する。

「もちろん新しいスタイルに取り組んでいるけど、一番はひたむきに最後まであきらめずに走ること。それができなければ、新しいことをやる意味がない。こういう勝ち方をするのが、松本山雅だというのを(新加入の)みんなに伝えたかったし、それが今日で分かったと思う。オレたちのスタイルはこれであって、なおかつプラスアルファが新しいスタイルだから。自分たちのベースを忘れてはいけない。最後までひたむきに戦う姿をファン・サポーターは見に来てくれている。それを忘れてはいけない。開幕戦のような、まったりしたゲームをするくらいなら新しいスタイルなんて必要ないし、相手がどこであれ、自分たちのスタイルを貫くことができれば、J2では負けない自信がある」

 J1復帰という最大の目標を見据えながら、自分たちのベースを再認識しつつ、スタイルの変化、上積みを図っていく。このチームがどのように歩んでいき、シーズン終盤にどのようなチームに仕上がっているのか、興味は尽きない。

(取材・文 河合拓)

●[J2]第2節 スコア速報

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