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勝てる相手に攻めきれなかったFC東京 MF羽生「最後にやられたら何も残らない」

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[3.15 ACLグループリーグ第3節 F東京 0-0 江蘇蘇寧 東京ス]

 江蘇蘇寧は、どのようなサッカーをしてくるのか。元ブラジル代表FWジョーに加え、65億円もの移籍金で加入したMFアレックス・テイシェイラも先発に名を連ねたチームを相手に慎重になるのは無理もなかった。

 立ち上がり、FC東京は相手の出方を確かめるような慎重な戦いを見せた。その中で選手たちは、十分に勝てるという思いを抱いていった。「前半を戦ってみて、勝ち点3獲れるゲームだなと思いました。前線は強力でしたけど、ある程度コントロールできていましたからね」と、MF羽生直剛は振り返る。

 江蘇蘇寧はビルドアップをせずに、単純に最前線のジョーにボールを放り込んできた。しかし、ジョーに対してはDF森重真人とDF丸山祐市の日本代表CBコンビが目を光らせ、簡単にボールを入れさせない。中盤でボールを失ってカウンターを浴びる場面以外は、ほとんど江蘇蘇寧の攻撃は脅威になっていなかった。

 だからこそ、F東京にとっては城福浩監督を招聘し、攻撃的なサッカーに取り組むという姿勢を示すチャンスだった。しかし、F東京もあまりリスクを冒さない戦い方で0-0というスコアで試合を終えた。

「見ている人にとっては退屈なゲームだったかもしれません。勝ち点3が獲れる試合ではありましたが、最低限、負けなかったというのはリーグに向けても続けていくべきこと。それはリーグの鹿島戦でもそう。そこのオーガナイズはしっかりできていたと思います」と、羽生は話した。

 F東京が江蘇蘇寧の攻撃を分断できていたもう一つの理由に、現役ブラジル代表のMFラミレスが出場停止だったことも挙げられるだろう。豊富な運動量を誇るラミレスは、ジョーへのサポート役になったり、自身のキープ力で全体が押し上げていく時間をつくれる存在だ。そんな攻撃のキーマンが不在の試合だったからこそ、この試合は勝ち点3が欲しかったのだが、F東京には攻撃のアクセルを踏みきれない原因があった。

「大宮戦を受けて、自分たちがどれだけボールを握っていても、最後にやられたら何も残らないと、あらためて感じました。それをうやむやにしてしまうと、今まで培ってきたものがゼロになってしまうので、まずは守備から、まずはやられない。監督はもちろん主導権を握りたいと思っているでしょうし、練習でもそこを取り組みますが、試合になったときはまずはやられない。最低限、失点を減らす。そういうトライは開幕戦を受けて、よりみんなで話しています」

 開幕戦でF東京は大宮を圧倒しながら、一発のカウンターで沈んだ。この敗戦を受けて、チームはいきなり攻撃的なスタイルを前面に押し出すのではなく、クラブ史上最高の勝ち点を挙げた昨季のように守備を最優先に考え、そのうえで攻撃の時間を長くしていくことが必要だと再確認したという。城福浩新監督の下、その理想とする戦い方ができるようになるのはいつになるのかが、チームの成績を大きく左右しそうだ。
(取材・文 河合拓)

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