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[UAチャレンジカップ]示した団結力とチーム力の高さ、3日間の大会で成長遂げた秋田商が初優勝!!

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[3.25 アンダーアーマーチャレンジカップ決勝 秋田商高 1-1(PK5-4)明秀日立高 富士緑の休暇村]

 日韓の強豪8校が真剣勝負で成長を目指すと同時に、栄養講習会やリカバリー講習会を通して体作りの知識などを身につけてきた「アンダーアーマーチャレンジカップ2016 SPRING」(山梨)は大会最終日の25日、順位決定戦を行い、決勝では秋田商高(秋田)と明秀日立高(茨城)が対戦。1-1で突入したPK戦を5-4で制した秋田商が初優勝を飾った。

「背も大きくないし、特別な能力がある訳ではない。でも、チーム力というのはこの子たちにはあるのかなと思います」。秋田商の小林克監督は歓喜の雄叫びを挙げる選手たちを見つめながら、そう口にした。昨年、ともに全国高校総体、全国高校選手権に出場している強豪同士によるファイナル。拮抗した展開となったゲームでまずはしっかりと守ることを意識した秋田商は縦パス、PAに入ってくるクロスボールを確実に跳ね返すことを徹底する。なかなかいい形の崩しまで至らなかった明秀日立だが28分、クリアボールをMF橋本光希(1年)が右足ダイレクトボレー。34分にはCB黒宮渉(2年)が入れた素晴らしい対角線フィードを起点にMF武藤淳主将(2年)がクロスへ持ち込むなど徐々に攻勢を強めていった。

 その明秀日立は後半開始からエースFW小磯克文(2年)とBチームから台頭してきたFW石川皐己(2年)を投入。攻撃のギアを上げようとするが、秋田商は小林監督が「守備の気付きが早くなったような気がします。試合をこなすごとにどこを狙われていてどう対応するのか、どこに弾いたらいいのかと自分の中で明確になって、迷わずやっていたような気がします」というように判断速い守り、クリアで明秀日立に連続攻撃を許さない。

 すると後半13分、秋田商が先制点を奪う。右サイドからカットインしたMF伊藤岳歩(2年)が利き足と逆側の左足を一閃。コントールされた一撃がファーサイドのゴールネットに突き刺さった。スーパーゴールに秋田商ベンチも興奮。「言い続けたのはしっかり守っていれば、必ず1回はビッグチャンスが来るからそれをものにしよう」という指揮官のメッセージ通りの守り、そしてファインゴールによって秋田商がリードを奪った。

 秋田商は20分にも縦パスを受けたFW加藤敬明(2年)が切り返しでDFを外し、左サイドへ展開。攻め上がる秋田商と戻る明秀日立の選手たちがゴール前に雪崩れ込む中、MF田近晴登(1年)は冷静にファーサイドでフリーの伊藤岳へラストパスを通す。だが、伊藤岳の左足シュートはわずかに枠を外れ、追加点とはならない。
 
 明秀日立は27分、CB有金理久(2年)を前線へ投入。そして29分にはCB松永健太(2年)を最終ラインから前線へ上げて4バックから3バックへ変更する。パワープレーにシフトした明秀日立がセットプレーから立て続けにゴールへ迫る。サイド、ゴール前の攻防で粘る秋田商を上回った明秀日立は32分、右ロングスローからニアサイドで競り勝つと、最後は右SB深見凛(1年)が右足ダイレクトで値千金の同点ゴール。残り3分で試合を振り出しに戻した。

 勢いに乗った明秀日立は一気に試合をひっくり返しにかかる。秋田商もセットプレーのチャンスをつくるなど見応え十分の展開となった終盤。だが、試合は1-1のまま後半を終え、即PK戦に突入した。明秀日立は後半終了間際から前日の準決勝でPK2本をストップしているGK鈴木翼(2年)を投入。一方、秋田商は「Jリーグでも身長低くてもGKやCBをやっている人がいる。サッカーは身長じゃない。背が低くてもGKできることを証明したいと思います」という164cmの守護神、GK戸沢太一(2年)が大声で相手にプレッシャーをかける。明秀日立は今大会奮闘光った1人目の黒宮の右足シュートがゴールのわずかに左外へ。対して秋田商はMF駒野谷海人主将(2年)から加藤、MF東海林翔(2年)と3人目までが成功すると、4人目のMF伊藤颯(1年)もGKに触られながらもゴールへねじ込む。最後は伊藤岳が緊張の一撃をゴール右隅に決めて5-4で勝利した。

 タイトル獲得を心から喜んでいた秋田商イレブン。飛び抜けたタレントこそいないが、チームが団結して粘り強く守り、戦ってきた成果がひとつ出る形となった。今大会、5戦全勝という結果を予想していなかったという小林監督は「これだけ集中力保てるのであれば、どの試合でもできなければいけない。波を小さくしていきたいと思います」。目標は現在秋田県勢11連敗中の選手権での勝利、そして上位進出。戸沢は「まずはしっかり全県総体で優勝してインターハイの舞台に出て、1勝して選手権への弾みをつけられたらいい」と語り、加藤は「秋田県のチームはそんなに強くないと思われていると思う。自分がゴールを決めて全国で少しでも上に行けるようにしたいです」と意気込んだ。3日間でつけた自信を胸に、秋田の名門が飛躍を遂げる。

(取材・文 吉田太郎)
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