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[MOM375]明治大FW岩田拓也(4年)_スタンドの声援に胸熱く、4年生FWのダイビングヘッドが逆転弾

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.9 第90回関東大学リーグ1部・第2節 明治大2-1法政大 味フィ西]

 大学入学以来、目の前には大きな壁が立ちはだかっていた。チャンスが来ては過ぎ去り、先発の座をつかむのは簡単ではなかった。それでも大学最終学年となり迎えた今シーズン。明治大FW岩田拓也(4年=FC東京U-18)は、開幕戦から先発起用されると2試合連続ゴールの結果を残し、明治大の新11番として存在感をみせている。

 岩田の一学年上にはFW和泉竜司(現・名古屋)とFW藤本佳希(現・岡山)がいた。ともに過ごした3年間、その背中を追ってきた岩田は「1年からずっと竜司くんと佳希くんが試合に出ていて、途中出場のチャンスを与えてもらいながらも、なかなか結果を出せない自分がいて悔しさがありました」と振り返る。だからこそ、「今年にかける強い思いはある。やってやろうという気持ちもあります」と言うとおりだ。

 そんな強い思いが今季は結果につながっている。開幕戦でゴールを決めると、この日の法政大戦では2-1の逆転弾を決めた。1-1の後半24分、明治大は右CKを獲得。自チームのゴール裏前だったため、スタンド部員たちは盛り上がり、精一杯声を張り上げた。この瞬間、岩田は「応援してくれている仲間が見えて。前節もそうだし、チーム一丸となってやっていると本当に伝わってきた」と胸が熱くなったという。

 チームのために――。何としてでもこのチャンスをものにしようと決意したFWは、右CKからMF道渕諒平(4年=仙台ユース)が蹴り込んだボールに飛び込み、ニアサイドでダイビングヘッド。「GKの位置は見えていた」という一撃は相手に当たりながらもネットを揺らした。

 応援する仲間の前での鮮やかな一撃。両手を掲げたFWは一目散にベンチ前へ走り出すと、セカンドGK八谷惇希(4年=清水ユース)に抱きつき、喜びを表した。チームメイトたちが引き上げていくなか、岩田だけは最後までベンチのメンバーとゴールを喜んでいた。

 殊勲のFWは「前節では点を決めた後にスタンドに行ったんですけど、その試合後、八谷に『次に決めたら絶対に来てくれ』と言われていたんです。だから今日は(試合に出ていた)みんなはもう戻っていたんですけど、僕だけはしっかりとベンチ前に行きました」とハニかみながら明かした。

 開幕から2戦連続ゴールと順調なスタートを切った。今季の目標については「竜司くんたちの分も10点以上は取りたいです」と語りながら、「自分はあの2人みたいに上手くないし、個人技はないので。まずは守備から入って、どんなゴールでもいいので泥臭くやっていくだけです」と表情を引き締める。

 2トップを組む相方は同級生のFW丹羽詩温(4年=大阪桐蔭高)。丹羽も開幕戦と法政大戦と2戦連続で得点を挙げており、連続アベックゴールとなった。岩田は「やっぱり4年生のFW2人で引っ張っていかないといけない。去年の竜司くんと佳希くんがいない分は僕らがやらないといけないという責任は感じているので。その点、開幕戦と今日と2人で点が取れたことは良かったです」と安堵の表情を浮かべた。

 和泉や藤本が卒業したからといって、明治大の攻撃力は落ちていない。開幕からの2試合で岩田と丹羽はそれを示した。強力な先輩たちを前にもがぎながら、ひたむきに戦い続けてきたFWたちが今、覚醒のときを迎えている。

(取材・文 片岡涼)

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