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[MOM391]明治大FW丹羽詩音(4年)_「色んな人の想いを背負って」、示す4年目の真価

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[8.10 総理大臣杯準々決勝 明治大3-0大阪体育大 ヤンマースタジアム長居]

 関西で開催される総理大臣杯は、高校生まで大阪で過ごした明治大のFW丹羽詩温(4年=大阪桐蔭高)にとって、「地元・大阪でやる大会なので、出場できればこれまでお世話になってきた方にプレーを見てもらえる」絶好の機会。ただ、これまで3年間は一歳年上のFW和泉竜司(現・名古屋)とFW藤本佳希(現・岡山)に阻まれ、レギュラーはおろかベンチ入りすらままならなかった。

 ただ、ラストイヤーを迎えた今年は「悔しい想いで過ごした」これまでの3年間とは違う。ゴールこそならなかったが、1回戦の高知大戦でフル出場し、地元・関西への凱旋を果たすと、2回戦の東海学園大戦では1点ビハインドで迎えた後半終了間際に起死回生の同点ゴールをマークし、PK戦での勝利に貢献。明治大の勝ち上がりに欠かせない存在となっている。

 大阪体育大と激突したこの日も「積極的にDFの背後を狙っていた」と序盤から鋭い飛び出しで攻撃を牽引した。「何より追加点が大事」と迎えた後半5分には、相手エリアの左中間でボールを受けるとドリブルでPA左まで侵入。そこから更に「僕以外の選手が、オフザボールの動きで相手のDFラインを上手く混乱させてくれた」と2トップを組むFW木戸皓貴(3年=東福岡高)がゴール前から右サイドに流れたで生まれたPA中央のスペースに侵入すると、右足シュートを叩き込んだ。

 チームへの貢献は得点だけに留まらず、フィジカルコーチを務める氏が指摘するのは守備の面。「重心移動する時に踏ん張らないから、守備の時にいちいち止まらずに二度追い、三度追いができる。動き出し含め、FWの選手にお手本にしてほしい選手」と評するように試合終盤まで落ちないアグレッシブなチェイシングで、明治大の生命線と言えるハイプレスを支えた。

 大学生活ラストイヤーを迎えた今年は大臣杯だけでなく、前期日程を終えた関東大学リーグ1部でも8得点を奪い、得点ランキングのトップに君臨する。昨年は大臣杯のメンバー登録から外れたため、決勝まで勝ち進んだチームを尻目に東京に残って練習に励むなど苦しい時期が続いたが、「試合に出られないって経験も大学に入るまではなかったので、壁に当たった。でも、明治はトップで試合に出ている選手以外も、毎日練習で見てもらえる環境にある。自分も腐らずに全力で練習をしてきた。結果としては2人が卒業してからレギュラーになった形だけど、これまでの3年間があったからだと思います」と口にするように決して無駄ではなかった。

 2回戦では観戦に訪れた大阪桐蔭高時代の恩師である永野悦次郎監督の前でゴールを見せることができたが、恩返しには準々決勝までの2点ではまだ足りない。

 「家族、親族、中学・高校と同じサッカー部でやってきた友達も大阪にはたくさんいる。そうした人たちに自分が成長した姿を見せるのと同時に、東京にいる部員も悔しい想いをしながら練習に励んでいるので、そういう想いも背負って戦うことが僕たちの責任。色んな人の想いを背負ってプレーをしたい」と更なる活躍を誓った。

(取材・文 森田将義)
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