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[MOM394]順天堂大GK中村研吾(3年)_4戦無失点、決勝進出の立役者「1点獲ってくれたら勝てるチームに」

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[8.12 総理大臣杯準決勝 日本体育大0-2 順天堂大 ヤンマースタジアム長居]

 4戦連続でゴールを奪うなど規格外の活躍を見せるルーキーのFW旗手怜央(1年=静岡学園高)に目が行きがちだが、順天堂大の勝ち上がりに欠かせないもう一人の立役者は最後尾を託されたGK中村研吾(3年=四日市中央工高)だ。

 本人は「いつも通りやっているだけ」と謙遜するが、ここまで4試合で無失点を維持しているのはマグレではない。大会自体も、決して楽な勝ち上がりではなく、2回戦で後半23分にゲームキャプテンを任されたDF坂圭祐(3年=四日市中央工高)が退場し、10人で守らなければいけない苦しい展開を強いられたが、彼の鬼気迫るセーブで逃げ切りに成功。坂を出場停止で欠いた準々決勝も、要所をきっちり抑えて1-0での勝利に貢献した。

 この日も「ここまで勝ち上がるチームは簡単に勝たせてくれない。難しい試合になると思っていたので、一点獲っても絶対に相手は来るだろうと思っていた」と振り返ったように、楽なゲームではなかった。

 DFラインを高く設定し、なるべく高い位置で奪いつつ、蹴られてしまってもオフサイドトラップをかけることが順天大の守備コンセプト。前半は5つのオフサイドを奪うなど、一定の成果を挙げたものの、上手くハマらないと一気にピンチに陥るのも確か。現に前期11試合を終えた関東1部リーグで「オフサイドをかけに行って失敗したり、集中が切れた瞬間を狙われる機会が多かった」ため、リーグワースト4位の18失点を献上。今大会は「DFラインに一番、不安があった」(堀池巧監督)という。

 特に、この日は相手ペースで試合が進んだ後半に入ってからの守備が機能せず。最初のピンチを迎えたのは後半14分。MF渡邊龍(2年=FC東京U-18)のスルーパスがDFの間をすり抜け、ゴール前に入ると、フリーで抜け出したFW平川元樹(2年=札幌U-18)が中村との1対1を迎えたが、「来るだろうなという前提で常に守っているのであまりビックリしなかった。坂(圭祐)がしっかり戻ってくれたり、チームの決まりがしっかりできていたと思う」と慌てず、冷静にシュートを防いだ。

 19分にも中盤からのスルーパスがDFの背後へ。今度は渡邊との1対1を迎えたが身体に当てて、ピンチを凌ぐと、こぼれ球を拾った平川には守備陣がきっちり身体を張って、フィニッシュに持ち込ませず無失点のままタイムアップを迎えた。

「あまり動かないし、足が速いタイプでもないけど、どっしり構えるタイプ。今日は一つくらいやられるかなって思ったけど、神がかり的だった」と指揮官も称える活躍で勝利の立役者となったものの、「ゼロというのは『やれているのかな』って自信になるけど、自分が活躍しているとかチームを助けたという気がしないし、凄いシュートを止めているとは思わない」と至って冷静。

「前に関しては怜央に助けられているので、1点獲ってくれたらゼロで勝てるチームになっていきたい。前は1年生が好きなようにプレーして、後ろは上級生が守るという役割が今大会はしっかりできている」と主役はあくまで点を奪うアタッカー陣であると強調する。

 一方で、手応えを掴んでいるのも確かで、「この大会に入ってチームとして成長している。粘り強さとかメンタル的な部分でチームが逞しくなっている。このまま優勝して、リーグ後期にも活かしていきたい」。頂点まで残り1勝。次もゼロで凌ぎきれるか注目だ。

(取材・文 森田将義)
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