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[ADIDAS CUP 2016 in OSAKA]帝京大可児が大阪学院との準決勝制す!全国での敗戦から学んだ崩し、我慢が勝因に

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[8.17 ADIDAS CUP 2016 in OSAKA 大阪学院大高 1-2 帝京大可児高 J-GREEN堺]

 北海道、関東、東海、関西の強豪12校が秋の戦いへ向けて力を磨いた「ADIDAS CUP 2016 in OSAKA」は大会最終日の17日午前に準決勝を行い、ともに全国高校総体に出場している大阪学院大高(大阪)と帝京大可児高(岐阜)が対戦。帝京大可児が2-1で競り勝ち、決勝へ進出した。

 今年の全国総体2回戦で前橋商高(群馬)の堅いブロックを崩せずに敗れた帝京大可児は堀部直樹監督が「厳しいブロックをしてくるチームでも動かして徹底していきたい」と語ったように、全国で敗れた経験から、ボールを動かす位置をこれまでよりも高く設定して、強豪の守りをいかに崩すかというテーマを持って取り組んでいる。全国総体後の第14回金沢ユース(U18)サッカー大会でも内容が向上していたという帝京大可児は今大会4連勝。この日も3分に先制点を奪う。左MF奥崎寛史(3年)が中央へ切れ込むと、中央から開きながらスペースへ抜け出したMF{{浅井泰生(3年)が左足ダイレクトで逆サイドのゴールネットへ突き刺すファインショット。「絶対にファーしか無い。ちょっと回転かけて落とした」という一撃によって幸先よくリードを奪った。

 一方、25人のメンバーがローテーションを組んで今大会を戦う大阪学院はサブ組中心の陣容で準決勝に挑戦。序盤は攻守における関わりの部分を欠き、頑張りどころで遅れてしまっている選手もいて、中盤で堅実にボールをさばくMF森田拓実(3年)や左利きの司令塔・福田航希(3年)中心に攻める帝京大可児に試合の主導権を握られていた。

 それでも先発半数以上が2年生の大阪学院が非常に意欲的なサッカーで流れを引き寄せる。18分、2年生MF山見大登(2年)が2度の深い切り返しでDF2人を鮮やかに抜き去って強烈な左足ミドル。20分には敵陣でボールを奪い返すと、鮮やかな連係で崩してFW松岡翔輝(3年)がゴールを奪う。ベンチの主力組も大いに沸いた同点弾。その後も大阪学院はMF加場拓実(3年)が気の利いた動きで危険を消し、長身CB田中真照(3年)が相手の攻撃を跳ね返す。また敵陣でインターセプトしたFW乾昂汰(2年)がロングシュートを撃ちこむなど大阪学院が攻勢のまま前半を終えた。

 後半も立ち上がりは大阪学院のペース。パワフルな動きでDFに圧力をかける松岡らが相手を押し込んでセットプレーを獲得。そこからチャンスを掴んだ。だが、GK川地颯馬(3年)中心にミスなく守った帝京大可児が劣勢を乗り切ると、チャンスを確実に活かして勝ち越した。15分、押し返した帝京大可児は中盤の空いたスペースへボールを連続で通してチャンス。そして中央の福田が右中間へ抜け出した交代出場MF久保藤次郎(2年)へ繋ぐと、久保が逆サイドのゴールネットへ右足シュートを突き刺して2-1とした。

 この後、勝負どころで細かいミスやハードワークを欠いた部分が出た大阪学院。それでも勝利への執念を見せるブルーのユニフォームはアディショナルタイムに敵陣PAやや外側の位置でFKを獲得する。だが、乾の左足シュートは壁に当たって試合終了のホイッスル。相手の攻勢に飲み込まれずに1点リードを守った帝京大可児が決勝進出を決めた。

 帝京大可児が全国総体から成長を示した部分が攻撃面のほかにもうひとつある。それは押し込まれている時間帯で崩れずに立て直し、逆に少ないチャンスをものにした点だ。全国総体の前橋商戦では終了間際の失点で敗れていただけに、堀部監督は「あそこで持ち直せるようになった」と頷き、森田も「今までだったら、最後のFKとかでこぼれ球を押しこまれていたと思う。インハイで残り3分くらいに失点してからみんなの意識が変わった」と語ったように、幾度かあった苦しい時間帯を乗り越えて決勝進出。また、今大会はAチームの主力組とBチームの主力組の混成チームで臨んでいるが、アピールを目指す選手たちの奮闘と危機感を持った主力組の競争によって意識高い3日間を送った。決勝では綾羽高(滋賀)に敗れて金沢ユース大会に続く準優勝に終わったが、指揮官が「悔しい思いをしたのでこれがいい方向に向けば」と期待したように、岐阜のV候補筆頭はあと一歩で連続準優勝に終わっている悔しさをエネルギーにして4年ぶりの全国出場を目指す選手権でぶつける。

[写真]前半3分、帝京大可児はMF浅井が左足ダイレクトで先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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