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[ADIDAS CUP 2016 in FUKUOKA]京都で3連続準Vの洛北が快勝!100%近い力発揮し、”高い山”削って選手権へ

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[8.18 ADIDAS CUP 2016 in FUKUOKA 長崎南山高 0-2 洛北高 グローバルアリーナ]

 地元・九州勢を中心とした強豪12校が秋の戦いへ向けて力を磨く「ADIDAS CUP 2016 in FUKUOKA」は18日、グループリーグ2日目を行った。昨年度夏冬全国出場の長崎南山高(長崎)と昨年度の選手権予選から新人戦、総体予選と3連続で京都準Vの強豪・洛北高(京都)との一戦は洛北が2-0で勝利。グループリーグ初白星を飾った。

 終始ボールを握って攻め、前からのディフェンスもハマって長崎南山に力を出させなかった。洛北は前半に相手のミスを突いたFW影山大賀(3年)が先制ゴール。後半終盤にはこぼれ球を拾ったMF松村尚弥(3年)が左足で加点した。セットプレーでは強力CB松村王貴主将(3年)が長崎南山の大型CB太田晃輔主将(3年)とハイレベルなエアバトルを繰り広げ、2年生MF石橋亘が技術と攻撃センス、またMF樋口岳(3年)やFW中村匡克(3年)が突破力を発揮。中盤では頑張りの利くMF柴田匡晴(3年)が「守備でしっかり前からハメに行ったり、セカンドボールを拾う意識でやっていました」というように、セカンドボールを良く回収するなど個々の持ち味も発揮しての勝利だった。
 
 5バックを敷いて奪ったボールを素早くつなごうとした長崎南山は10番MF大久保亘輝(3年)の好パスも見られたが、前半にFW西田晃典(2年)が抜け出しから放った右足シュートが枠を外れ、後半にはFW岩崎熙(2年)やDF木森玲雄(3年)の決定的なシュートが相手GKのファインセーブや相手DFのスーパークリアによって阻まれてしまう。チャンスはつくったものの、1点を奪うことができずに2連敗となった。

 洛北の前田尚克監督は今大会、「言われてからやる選手と自分からできる選手の見極めをしている」という。加えて、テクニカルな選手やパワフルな選手、コンビネーションを得意とする選手などそれぞれ特長を持つ選手たちに多くの出場機会を与えながら、どのような相手、状況で活きるのか特性を見つける作業。自分から発信したり、プレッシャーがかかっていなくても自分から勝負に行くことのできる選手を見落とさずにピックアップしていく。

 指揮官は夏のフェスティバルの戦いについて「今の段階だったら運が悪い方がいい」と語る。ミスや対応の遅れによって決定的なピンチを招いても、それが失点にならなければ、選手が深く反省することも、チームメートから厳しく指摘されることもないからだ。もちろん、GKがファインセーブしたり、ピンチをギリギリでカバーして失点を防いだりする成功体験も重要。だが、「やられた方が経験の蓄積になって、選手も色々なことを考えられる」と説明する。この試合ではシュートまで持っていくチャンスがありながら打ちきれなかったり、ラストパスがズレたり、攻撃のテンポの遅れるシーンもあったが、勝っていることで目立たなかった。ミスで崩されてもGKの好守によって失点にならなかった。そのような課題に自分たちで気づいて改善することができるか。主将の松村王は「危機感を感じている」と語っていたが、個々がより高い意識を持って粗を一つでも潰しながら本番の戦いへ向けてチーム力を高めていく。

 昨年の選手権は3年生チームで決勝進出。代替わりした今年は「経験している選手が少ない。最初は上の方まで行ける思っていなかった」(松村王)というように、当初はスタッフ、選手ともに苦戦を予想していたというが、それでも朝のサーキットメニューなどが効果を発揮して新人戦、総体予選で準優勝した。だが、いずれも立ちはだかった京都橘高の壁。京都には他にも久御山高や東山高など覇権を狙う強豪たちがいる。前田監督は「高い山は削らないといけない」と語っていたが、洛北は自分たちが100パーセントに近い力を発揮し、そのサッカーによってどれだけ相手に特長を出させずに“山を低く”させるかが重要。柴田は「自分たちの100パーセントの力を出して(京都橘であればU-19日本代表の)岩崎選手とかに自由に動かしたら上手いので、相手の思い通りにやらせないこと。そしてカウンターとか自分たちの100パーセントを出せるようにしている」と語った。

 3年生にとっては最後の選手権。これまでと同じような結果で終わるつもりはない。3年生唯一の一貫クラス生で難関大学合格との両立を目指しているという柴田は「勉強とか時間削ってもサッカーをやっている。しっかり結果を残してどっちも悔いを残したくないし、橘にずっと負けているので次こそという思いが強いです」と語り、また注目株のCB松村王も「選手権、新人戦、インターハイとずっと負けているので優勝しか考えていないです」。決してスター選手が揃っている訳ではない。だが、今度こそ決勝で勝てるように、紙一重の勝負を勝ち切るチームになれるように、私生活の部分、プレー面でも引き締めて、多くのことを積み上げて選手権に臨む。

[写真]洛北の柴田は中盤守備で奮闘した

(取材・文 吉田太郎)
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