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国士舘大DF附木雄也、苦境も楽しむ頼れる主将が1部残留へ導く覚悟

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国士舘大の主将を務めるDF附木雄也

[10.2 関東大学リーグ第16節 桐蔭横浜大0-1国士舘大 国士舘大G]

 自ら手を挙げた主将という立場。チームが苦境に立たされれば立たされるほどに、その肩には責任が圧し掛かる。それでも国士舘大の主将、DF附木雄也(4年=八千代高)は苦境も楽しむメンタルでピッチへ立つ。

 10月2日に行われた関東大学リーグ第16節・桐蔭横浜大戦で先発した附木は、身体を張った守備で相手の攻撃を弾き、空中戦ではさすがの強さを示した。また、フィジカルを活かしたプレーだけでなく、時折みせる冷静なボールさばきで落ち着きを与えた。チームは今季二度目の完封勝利で初の2連勝。11戦ぶりに最下位を脱出し、残留圏と勝ち点で並んでの11位へ上がった。

 昨季の得点王であるFW松本孝平(4年=藤沢清流)とアシスト王のMF荒木翔(3年=日本航空高)を擁する国士舘大だが、今季は蓋を開ければ10度も最下位に沈むなど低迷。2部降格経験のない名門だが、7連敗を喫したこともあり、苦しい戦いを強いられている。

 混戦のリーグ戦で1試合の勝敗が大きく意味を持つ残留争い。そのプレッシャーは、さぞ大きいのだろうと思いきや、附木は「こんな経験はしたことないので、楽しいといえば楽しいですよ」と言い切る。

「自分がサッカーをやってきて、リーグ戦でこんな負けていることはない未知の経験ですし。降格したことないような名門チームで、自分からやりたいと言ってなったキャプテンとして、見せ所でもあると思います。それにゲーム中も徐々に楽しくなっていますし、苦しいですけど、意外と楽しめています」

 今季の序盤、なかなかチームとして結果を出すことができなかった理由については「去年から残ったメンバーもいて、“勝てるだろう”という真剣勝負の中での出てはいけない一瞬の隙や、練習中も少し温い部分があったりしたと思う。そういうところ、一つ一つがゲームに出たりしてしまったのかなと思います」と反省を口にした。

 附木にとって、前期リーグは継続的に力を出し切ることのできないフラストレーションが溜まるものだった。開幕2試合を怪我の影響で欠場したうえ、3試合を教育実習の影響で欠場したのだ。5連敗中のチームを離れることは辛く、チームへ「帰りたい」想いでいっぱいだったという。

 それでも教育実習を終えて、戻ってきた主将はピッチへ立つことのできなかった悔しさを取り戻すかのように結果を残す。“復帰後”初戦となった総理大臣杯予選1回戦・拓殖大戦。附木は守備だけでなく攻撃でも見せ場をつくると、2得点の大活躍。2-0の完封勝利の立役者となった。

「DFとして開幕2試合出られなくて、教育実習で大事な試合を抜けて、責任を感じていました。後期で巻き返すことができて良かった」と微笑むDFは「今振り返ると、総理大臣杯予選で自分が2点を決めることができて、さらに完封で勝てたのはすごく嬉しかったです。“俺だろ! 必要だろ!”みたいな感じで」と冗談めかして笑った。

 悔しさの募った前期リーグを終えて迎えた後期リーグ。国士舘大はここまでの5試合で3勝2敗と白星を先行させている。とはいえまだまだ降格圏にいるわけで、ここからも気の抜けない戦いは続く。

 頼れるDFリーダーは「CBとしては一番1-0が気持ちいい。次節は慶應義塾大とで今日よりも厳しい戦いになると思う。3連勝を目指していく中で難しいとは思いますけど、絶対に勝ちたいと思います」と力強く誓った。

(取材・文 片岡涼)

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