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“渋滞解消”のため、FW岡崎は「俺だ! 俺だ!」を捨てる

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A代表50ゴール目を狙うFW岡崎慎司

 責任感が焦りにつながった――。FW岡崎慎司(レスター・シティ)は、9月1日に行われたW杯アジア最終予選UAE戦を、そう振り返った。

 UAE戦ではFW本田圭佑(ミラン)の得点で先制しながらも、直接FKとPKによる失点で1-2の逆転負けを喫した。攻撃に転じた際には「(バヒド・ハリルホジッチ)監督からの指示が『中に入れていけ』ということもあったが、それだけになってしまった」と中央のエリアに選手が密集してしまう。何度も「中」を使えば「相手に読まれてしまう」ため、UAEにゴール前を固められて攻撃をはね返され続けた。

 岡崎は中央での“渋滞”が起きた要因を指揮官の指示に忠実になり過ぎた事とともに、「皆が結果を出したい気持ちが強過ぎた」ことを挙げた。6月7日に行われたキリン杯決勝のボスニア・ヘルツェゴビナ戦を1-2で落として迎えた最終予選初戦だっただけに、「一人ひとりの責任感が強く出て、中に中に行ってしまい、出し入れや誰かが中に入ったら外に行くという部分の臨機応変さがなかった」。

 しかし、9月6日に行われたタイ戦では、岡崎自身の出場こそなかったものの、2-0の勝利を収めた。「ほとんどの時間で主導権を握った試合ができた。チームの中でやりたいことを表現していくことで、“渋滞”を解消できるような話し合いもできている」と攻撃面が改善されていると手応えを得ている。

 自身はA代表50ゴールに王手をかけている。翌日に控えるイラク戦では「もちろんゴールを取りたい」と意気込みながらも、チームの勝利が何よりも重要だと強調。そして、そのためにもUAE戦で起きたような“渋滞”を起こしてはいけないと話した。

「“渋滞”のきっかけになったのも、皆のゴールを取りたい気持ちが強過ぎた。結局『俺だ! 俺だ!』のサッカーになって中に入ってしまったと思うし、責任感が焦りにつながった。点は取りたいけど、バランスを見ながら、チームが問題を起こさないことも心掛けたい」。黒星スタートを切ったチームに必要なのは勝ち点3。勝利のためにも渋滞を解消させて、イラクゴールを狙い撃つ。

(取材・文 折戸岳彦)

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