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[選手権予選]後半残り5分からの2ゴールで同点!エース冨山延長V弾!V候補・関東一が逆転で東京A準決勝へ!

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延長前半5分、関東一高は10番MF冨山大輔が決勝ゴール

[10.16 全国高校選手権東京都Aブロック予選準々決勝 関東一 3-2(延長)早稲田実 清瀬内山運動公園サッカー場]

 15日、第95回全国高校サッカー選手権東京都Aブロック予選準々決勝が行われ、総体予選優勝校の関東一高早稲田実高との一戦は延長戦の末、関東一が3-2で逆転勝ち。関東一は11月5日の準決勝で堀越高と戦う。

 追い詰められたV候補が土俵際で踏みとどまった。前半、関東一は長短のパスを交えて攻めようとしたが、前線からのプレッシングが効果を発揮していた早稲田実はMF山口剛輝(3年)やCB荒巻洸介(3年)が空中戦での強さを発揮。セカンドボールを拾うと、前線での健闘光った2年生FW宮脇有夢がボールを収めて攻撃時間を増やしていく。24分には左サイドでボールを持った宮脇がクロスボールを入れ、これをファーサイドで受けたMF小山修世(3年)がカットインから左足シュート。これが関東一DFのハンドを誘い、獲得したPKを小山が自ら右足で決めて先制した。

 早稲田実は27分にも山口がヘディングで競り勝ち、小山が決定的な右足シュート。これはGK内野将大(3年)のビッグセーブに阻まれたものの、直後の右CKをこの日存在感のあった1年生FW鈴木俊也が左足で蹴り込むと、ニアサイドへ飛び込んだ宮脇が頭で決めて2-0とした。関東一は怪我から復帰してきた大型MF立石爽馬(3年)やエースMF冨山大輔(3年)中心に攻め返したが、小野裕貴監督が「攻守が全然連続していなかった」と分析した前半40分間。まさかの2点ビハインドでハーフタイムを迎えることとなった。

 それでも後半開始からU-17関東トレセンメンバーのFW重田快(2年)を投入し、16分までにFW林健太(3年)、MF新藤貴輝(3年)を相次いで投入した関東一は交代選手たちが幅を取ったポジショニングで相手の守りを広げ、中、外から攻撃を展開。シュートが枠を捉えなかったものの、22分にはMF篠原友哉(2年)の突破から冨山が決定機を迎えるなどチャンスもつくった。早稲田実は交代出場の10番MF木戸健太(3年)がチャンスメークするが、関東一はGK内野の好守もあって2点差を維持。それでも早稲田実の守りは堅く、ゴールをこじ開けることができない。

 後半も残り5分。全国高校総体で4強入りしながらも選手権予選準々決勝で敗退した昨年の悪夢が脳裏によぎる展開となった。それでも、関東一は注目の1年生ドリブラー・MF小関陽星を投入した後の35分、右サイドで冨山がキープすると、中央の重田が身体を張って繋いだボールを林が左足で沈めて1点差。「(準決勝会場の)西が丘には絶対に行こうという話をしていた。応援含めて絶対に獲るんだという気持ちがあった」(内野)という関東一はさらに37分、新藤が獲得した左CKをMF菅屋拓未(3年)が蹴り込む。GKの頭上を越えてファーサイドへ到達したボールをCB石島春輔(3年)がヘディングシュート。渾身の一撃がゴールを破った。両拳を握りしめたまま走り出した背番号4に大興奮のチームメートたちがスタンドから飛び出して迎え入れ、歓喜を爆発。終了3分前のゴールで蘇った関東一に対し、早稲田実もアディショナルタイムにセットプレーからチャンスを掴んだが、試合は2-2のまま延長戦に突入した。

 追いついたことで精神的なゆとりができた関東一は試合をしっかりとコントロールしながら早稲田実を仕留めに行く。そして前半5分、右サイドから仕掛けた小関が重田に繋ぐと、その落としを受けた冨山が絶妙なターンでDFのマークを外して右足を振り抜く。これがゴール左隅へ決まり、決勝点。小野監督は「(活動量の多い)重田の足が止まらなかったことと小関が入ったことで前の推進力が残せたので、(相手の)後ろの中盤を引っ張れたと思う」と語り、冨山も「去年上手く行かなくてずるずる行っちゃって、あ~となってしまったんですけど今年はそれをなくすために、層とかも厚くして、みんなでトレーニングしてきた。交代選手とかよくやってくれて流れも変えてくれたかなと思います」。昨年の経験も活かした関東一が交代出場選手たちの活躍もあって逆転勝ちを収めた。

 関東一は今夏の全国高校総体2回戦で優勝した市立船橋高に0-1で敗戦。スコア以上の完敗だった一戦から選手たちは自分たちを見つめ直してきた。冨山は「あの試合が『絶対に自分たちが変わらないといけない』というターニングポイントになったと思います。あの試合はフィジカル、技術すべて負けていたので、もう一回つけて行くということでみんなやってきた」。総体後のT1リーグ(東京都1部)では負けていないものの、1勝4分と勝ち点は伸ばせず。それでも小野監督は「(チームは)良くなってきているんで心配していなかった」。フィジカルトレーニングで強化していた部分は自信に。この日は苦戦を強いられたが、それでも自力を発揮して逆転勝ちを果たした。これまで跳ね返されてきた選手権の壁を、今年こそ突破して初めてとなる冬の全国へ。「初めて全国に出た代と言われたいです」(冨山)という目標を果たすため、全員で壁を乗り越える。

(取材・文 吉田太郎)
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