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[選手権予選]3回戦で前回王者と前々回王者が激突した注目対決は桐光学園が完勝!:神奈川

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前半18分、桐光学園高はMF田中雄大(14番)の先制ゴールを喜ぶ

[10.22 全国高校選手権神奈川県予選 桐光学園高 1-0 日大藤沢高 日大藤沢高G]

 注目のビッグマッチは桐光学園高が制す! 第95回全国高校サッカー選手権神奈川県予選は22日に3回戦が行われ、連覇を狙う桐光学園と14年度全国4強の日大藤沢高が激突。前半18分にMF田中雄大(2年)のゴールで先制した桐光学園がほぼ相手にシュートを打たせずに1-0で勝った。桐光学園は30日の準々決勝で桐蔭学園高と戦う。

 クロスゲームになる可能性も十分にあった前回王者と前々回王者の大一番。桐光学園がスコア以上の快勝で一つめのヤマ場を越えた。序盤は互いにリスクを回避してロングボールを蹴り合う展開。徐々に桐光学園がボールを支配し、主導権を握る時間を増やしていく。16分にはパス交換から田中雄がDF2人を外してラストパス。そして18分、1年生CB望月駿介の距離の長いスルーパスで抜け出した田中雄が「GKが一回ちょっと出て下がったのでこれはループだなと」とコントロールから間髪入れずにGKの頭上を射抜く右足ループシュートを決めた。

 2年前に同じ日大藤沢高グラウンドで開催された選手権予選で日大藤沢に逆転負けしている桐光学園が“アウェー”でリードを奪った。その後、前半に関してはMF倉持快(2年)がドリブルで独走しかけた場面を除くと決定的なシーンこそなかったものの、桐光学園は田中雄を筆頭に個々の守備意識が非常に高く、失ったボールを切り替え速く複数の選手で相手を取り囲んで奪い返す。また、最終ラインでは1年生CB望月が「ヘディングは(中学時代に所属した)FC多摩の時からずっと武器なので選手権に向けてずっと磨いてきました。たくさんの試合とかで自信を積んできた感じです」と空中戦で抜群の高さを発揮。日大藤沢は大型FW菅原大雅(3年)にボールを集めていたが、桐光学園の鈴木勝大監督が「正直、今日はアイツさまさまな最終ラインでもあったと思います」と賞賛した望月になかなか競り勝つことができず。日大藤沢は1年生の10番MF比留間輝が独特のタッチで仕掛ける場面もあったが、桐光学園はCB田中拓実(3年)、MF桑原遥(3年)らが簡単に自由を与えず。また日大藤沢にセットプレーのチャンスも掴ませない。

 日大藤沢は後半4分、PAにこぼれたルーズボールをFW竹内大敬(3年)が拾ってラストパス。これをFW岡田望(3年)が左足で狙おうとするが、桐光学園の寄せが早くシュートを打てない。一方、桐光学園は前半から3人、4人がかかわったパス交換で局面を打開し、そして日本高校選抜MF鳥海芳樹(3年)やFW西川公基(3年)、田中雄がドリブルでDF間を抜け出すなど日大藤沢の守りにプレッシャーをかける。そしてMF佐藤太一(3年)のバイシクルショットや西川のラストパスに走り込んだタビナスの左足シュートなどでゴールを脅かした。

 そして22分には鳥海が左サイドから一気に加速して中央へ潜り込むと、最後はこぼれ球を西川が決定的な左足シュート。だが、日大藤沢は再三好セーブを見せていたGK田代琉我(3年)がビッグセーブで弾き出す。田代は32分にも桑原の決定的ヘッドをスーパーセーブ。日大藤沢は守護神だけでなく、CB石坂尚己(3年)とCB工藤泰平主将(3年)の両DFが最後のところで足を伸ばし、岩舘空(3年)と安松元気(2年)の両SBも奮闘。1点差で勝機を保ったまま迎えた後半25分頃には敵陣で3連続FKを得たが、桐光学園は注目の195cmGK茂木秀(3年)が落ち着いた対応を見せ、また望月のヘディングなどでゴールに近づけなかった。ロングボールのこぼれ球を拾って攻めたい日大藤沢だったが、いい形でポイントをつくれず。終盤には相手の処理の甘さを突いて会場を沸かせるようなシーンもつくったが、SB淡路昂宏(3年)にクリアされるなど最後まで決定打まで持ち込むことができなかった。

 今年の桐光学園は鈴木監督が「調子乗りまくっちゃうんですよ」と苦笑するような世代。底抜けの明るさを持つというチームリーダー、タビナスを中心にムードよく、実力も十分に全国上位、日本一を争うだけの力がある。勝てば全国大会出場だった総体予選準決勝で苦杯を喫してからは田中雄が「インハイでは結構蹴ってしまっていた。自分たちが自信もって繋げるように、練習試合も、練習も、招待杯でも決勝のつもりで自分たちのサッカーを心がけていました」と自分たちの強みであるスキルの高さを活かしたサッカーにこだわって取り組んできた。この日はミスもあったが随所にその成果を発揮。スコアこそ1-0だったものの、攻守に強さを示して注目対決を制した。

 目標はもちろん日本一。だが鈴木監督から「今年は謙虚に。一つひとつと」と先を見すぎることなく戦うことを求められている選手たちは目の前の試合に集中する。タビナスも「自分たちは日本一を取れるメンバーだと思っています。でも一つひとつ課題をクリアして行くこと。その結果が全国制覇に繋がると思う」。この日の勝利で前方が大きく開けた桐光学園だが、次の相手も強敵・桐蔭学園。この日出た課題を修正して次の大一番に臨む。

(取材・文 吉田太郎)
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