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[選手権予選]やっと揃った主役の両サイドが持ち味を発揮。2戦連続5得点の和歌山北が和歌山準決勝へ

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サイドからPAに切れ込む和歌山北高MF和田広矢

[10.30 全国高校選手権和歌山県予選準々決勝 新宮高 0-5 和歌山北高 田辺スポーツパーク]

 第95回全国高校サッカー選手権和歌山県予選準々決勝が30日に行われ、4年ぶりの選手権出場を目指す和歌山北高が新宮高と対戦。5-0で快勝した和歌山北は11月5日に行われる準決勝で和歌山工高と対戦する。

 初戦となった前日の3回戦・那賀高戦に続き奪った得点の数は5。ターゲットである選手権出場に向けて攻撃陣が切れ味の良さを発揮する中、特に目を惹いたのは「二人ともドリブラーで負けたくない気持ちが強く、練習の時から張り合っている」と口にするMF和田広矢木村波生の両翼だった。

 先に持ち味を発揮したのは右サイドの和田。立ち上がりこそ上手く試合に入れず苦しんだ和歌山北だったが、前半16分に最終ラインから左前方に繰り出したロングボールにFW仲村慧一が反応すると、そのままドリブルでDFをかわしてゴール前にパスを送った。ニアに飛び込んだのはMF淀澤賢治。相手DFを引き寄せ、後方にスルーすると、最後は和田が左足シュートをゴールにたたき込んだ。「サイドを突破して速めにクロスを入れるのは狙っていた形」(和田)で試合を動かすと、直後の17分には左サイドの木村に見せ場が訪れる。左サイドから強引にPAへと切り込んだ所でファールを受けてPKを獲得すると、自らが冷静に決めて2点差で前半を折り返した。

 後半に入っても攻撃の勢いは衰えず。右からは和田のスピードとボディーバランスに長けた突破、左からはテクニカルな木村の仕掛けで新宮DFを何度も攻略。機を見ては二人が繰り出すサイドチェンジも効果的に機能した。後半11分には左サイドを抜け出した木村が冷静にゴール右隅に決めて試合の大勢を決めると、木村は15分にも左サイドを抜け出し、MF尾崎僚の得点をお膳立て。26分には途中出場のDF古岡巧が5点目をマークし、試合を締めくくった。

 試合後、中村大吾監督が「もっと点が獲れた試合。ゴール前での精度を上げていかないといけない」と指摘したように、結果だけ見れば大勝と言えるかもしれないが、決定機の数で考えれば、もっと点を獲っておかなければいけない試合でもあった。木村も「今日はもっと獲れた試合だと思うし、今日獲れなければ、準決勝や決勝でチームを助けることができない」と悔やんだものの、両翼が揃って持ち味を発揮できたことは大きな収穫と言える。

 新チーム立ち上げ当初から、今年の鍵となる存在として2人は期待されていたが、2月に行われた新人戦は共にインフルエンザにかかり、力を出せないままベスト8で敗退。夏の県総体は和田が右足首の負傷、木村がじん帯を痛めていたために本調子とは程遠い状態で、準優勝に終わった。今年、プリンスリーグ関西で2人が揃ってプレーしたのは4月に行った京都橘高戦の73分間のみ。他にもけが人が多く、ベストメンバーで挑んだ試合は少なく、プリンスリーグ関西では第15節を終えて勝点1に終わるなど苦い結果が続いた。だが、ようやくベストコンディションで2人が揃った今大会は和田が3点、木村が2点をマークし、チーム総得点の半分を占めている。満足な結果を掴めずに来たこれまでとは違うのは明らかだ。

 課題も散見するが、この2試合で手応えも掴んでいる。木村が「選手権でやっと全員が揃ったので、最後は予選で優勝して、全国に行きたい」と口にすれば、和田も「新人戦、インターハイ、プリンス…今年は悔しい想いばかりしてきたけど、それは全て選手権のためだったとチーム皆が思っている。その気持ちを変えないために選手権予選は優勝するしかない」と意気込み十分。残り2試合も両サイドからの力強い攻撃を見せつけ、選手権への扉をこじ開けるつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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