beacon

[選手権予選]正智深谷が熱闘制す。浦和南驚異の粘りを跳ね返し、2年連続の全国切符

このエントリーをはてなブックマークに追加

[11.20 全国高校選手権埼玉県予選決勝 正智深谷高 1-1(PK4-3)浦和南高 埼スタ]

 20日、第95回全国高校サッカー選手権埼玉県予選決勝が埼玉スタジアム2002で行われ、2年連続出場を目指す正智深谷高と復活を期す名門・浦和南高が対戦。終了間際の急展開などを経て大激戦となった試合は、1-1からのPK戦の末に正智深谷に軍配が上がった。

「試合の入りは非常に良かったと思う」と浦和南・野崎正治監督が振り返ったように、浦和南の選手たちは大舞台に臆することなく試合に入った。高さと強さに加えて技術もあるFW高窪健人を軸にしながら、シンプルに縦へと攻め込む形から正智深谷ゴールに迫った。ただ、対する正智深谷もそんな浦和南の攻めへ徐々に慣れて対応し、試合は五分に近い内容に。むしろ正智深谷・小島時和監督は「浦和南さんにリズムを作らせてもらえない中、ゼロで折り返せた」と前向きだった。

 その言葉どおり、後半は正智深谷が主導権を握る。要因になったのはFWに入っていた快足ドリブラーの新井晴樹を左に移し、後半7分からスーパーサブのMF田島帆貴を投入する采配だった。タメを作れる田島が中央に入った効果は大きく、12分にはその田島が繰り出したスルーパスから抜けた新井が先制ゴールを突き刺す。その後もFW玉城裕大の強烈な左足シュートがゴールバーを直撃し、CKからたびたびチャンスが生まれるなど試合の流れは大きく正智深谷へ傾いていた。しかし、「あそこで2-0にしておけば」(小島監督)という流れでもあった。

 風向きが変わったのは後半37分からDF山口翔大が投入されてから。「この予選で(出番は)初めてだが、このためにベンチへ入れていた」(野崎監督)という男の武器は、飛距離の出るロングスロー。「ちょっと驚いた」とGK戸田海斗が振り返ったように、強烈な秘密兵器が試合の流れを一変させた。元より高さのある選手はそろっており、後半アディショナルタイムにドラマは生まれる。山口のロングスローから交代出場のFW仁平大輔が完璧に競り勝ち、1-1。試合は土壇場で大きく動いた。

 この失点、「正直、ウッと来た」(DF田村恭志)のも当然だったが、失点直後に集まった選手たちは即座に「延長勝負でいい」と確認。焦って攻めに出るような無謀な振る舞いはなく、延長前に引き上げてくるところでは「落ち着いた様子だった」(小島監督)という。迎えた延長戦では双方に決定機が生まれるも、ゴールは生まれず。全国切符の行方はPK戦に委ねられることとなった。

 ここでの主役は正智深谷GKの戸田。すでに浦和南は今大会でPK戦をこなしており、「そのデータがあった」(戸田)ことも幸いした。2本目をストップすると、浦和南の4番手ではミスも出て、4-3で終幕。PK戦の末に埼玉を制した正智深谷が2年連続3回目の選手権出場を決めた。

(取材・文 川端暁彦)
▼関連リンク
【特設】高校選手権2016

TOP