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[プレミアリーグEAST]2点目奪う力、終了間際の失点…選手権V候補の市立船橋は課題出て柏U-18とドロー

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後半アディショナルタイム、柏レイソルU-18のMF田中陸が同点ゴール

[12.4 高円宮杯プレミアリーグEAST第17節 柏U-18 1-1 市立船橋高 柏]

 4日、高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 プレミアリーグEAST第17節でともに千葉県勢の7位・柏レイソルU-18と4位・市立船橋高が対戦し、1-1で引き分けた。

 12月30日に開幕する全国高校サッカー選手権の優勝候補・市立船橋にとって、それを達成するためにいくつかクリアしなければならない明確な課題がある。この日は1-0のまま試合を締められなかったことはもちろん、2点目を取れなかったことが響いてリーグ最多7回目となるドローに(7勝7分3敗)。U-19日本代表CB杉岡大暉主将(3年、湘南内定)は「1点しか取れなかったことが問題なのかなと思います。優勝がなくなったというのもあって、より自分たちがどうやって点取ったらいいのかこだわりたかった選手と、4試合勝てていなかったのでしっかりゲーム運びやって勝ち切りたいという選手とのバランスも取れていなくて後手になってしまった」と表情を引き締め、朝岡隆蔵監督も「1点取ってから急に守備的になった。ゲームの流れを持っていかれた。あそこでどういうコーチングができたか、というと自分の課題ですね」と首を横に振っていた。

 立ち上がりからボールを支配し、主導権を握って攻めた市立船橋が柏を押し込む展開。背後への抜け出しが少なくノッキングしてしまうようなシーンも見られたが、その中でもチャンスをつくっていた。そして、市立船橋は前半半ば過ぎからその数を増やす。俊足FW福元友哉(2年)がDFラインの背後を突くことで相手の守備網を破ると同時にその距離感を広げ、32分には左SB杉山弾斗(2年)の突破から右SB野本幸太(3年)が右足でフィニッシュ。34分にはこの日U-19日本代表のアルゼンチン遠征中の原輝綺(3年)に代わってCBに入った真瀬拓海(3年)の縦パスで福元が右サイドを抜け出し、そのクロスにMF西羽拓(3年)とMF太田貴也(3年)が飛び込んだ。

 37分にも西羽のグラウンダーの縦パスから福元が右足シュートを打ち込むなど相手ゴールに迫るシーンを増やしたものの、この日、U-17日本代表中川創(2年)、城和隼颯(3年)、東山航大(3年)を中心とした5バックで臨んでいた柏ゴールを破ることができない。逆に柏はいい形で相手ボールを奪った際はショートカウンターを完結。FW昼間拓海(3年)の切り替え速い仕掛けや右の森大輝(2年)が長い距離を駆け上がるなど、間髪入れずに攻め込んでMF中村陸(3年)やMF加藤匠人(2年)がシュートへ持ち込んだ。また、落ち着いてゲームをコントロールする時間も増やしながら試合を進めた柏は前半を0-0で折り返す。

 だが、市立船橋は後半14分、杉山の右CKを中央のFW福元が頭で上手く合わせて先制ゴール。これで勝利に近づいた市立船橋だったが、その後立て続けに交代カードを切ってきた柏に押し込まれてしまう。MF鬼島和希(3年)や交代出場のFW堤健太(1年)がぐいぐいと前へ出た柏は後半43分、交代出場の右DF坂本涼斗(3年)の折り返しを同じく交代出場のU-17日本代表MF田中陸(2年)が決定的なシュート。これは決めきることができなかったが、アディショナルタイム突入後の48分、坂本が“裏街道”で右サイドを突破して一気に縦へ切れ込む。そして上げられたクロスに再び飛び込んだ田中が5分前の反省を活かして枠ヘディングシュート。一発目で決め切ることはできなかったものの、GKが弾いたボールを田中が自ら右足でゴールへ押し込んで引き分けに持ち込んだ。

 柏の永井俊太監督は「これまではなかなか引き分けにできなかった。(残り試合は少ないが、今後へ向けて)いいきっかけになれば」と語り、2年生ながらゲーム主将を務めた中川は「試合前からずっとタフになるゲームだと分かっていた。あえて5バックにして自分たちがどれだけ耐えられるかという状況だったので、何とか惜しい失点だったんですけど1点にこらえたことで最後みんなが頑張って1点取ってくれたんで、そこは次に繋がるところでもあるし、失点シーンはもう一回見つめ直さないといけないと思います」と課題と収穫を口にした。

 一方、市立船橋の朝岡監督は0-0で終えた前節に続いて勝ちきれなかったことを指摘。攻撃的に試合を進めながら得点が奪えていない現状を問題視していたが、一方で「守って耐えて1-0の時代も長かった。これまでより、過去よりは一個成長している」と口にする。より上のレベルで勝負できるチームとなっている今年。チームは得点数が上がっていない部分については攻撃に大きな変化を加えるのではなく、これまでやってきたことをより積み上げていくことを決断した。杉岡は「高体連相手だと相手は引いてくると思う。壁を破らないといけない。最初は延長もないんで取りきるのは本当に課題なのでしっかりやっていきたい」。急激に台頭してきた福元らFW陣、シャドーの選手たちの競争、成長などによって課題を改善し、最後一伸びして選手権に臨む。

(取材・文 吉田太郎)
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