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昨年は関東2部、今年は日本一へ!筑波大が関西大破り、6年ぶりの4強入り!

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後半37分、筑波大は1年生MF三苫薫が左足で先制ゴール

[12.12 全日本大学選手権(インカレ)準々決勝 筑波大 2-1 関西大 浦安市運動公園陸上競技場]

 大学サッカー日本一を争う第65回全日本大学サッカー選手権(インカレ)は12日、準々決勝を行い、筑波大(関東2)と関西大(関西3)との一戦は交代出場の1年生MF三笘薫(1年=川崎F U-18)と初戦3得点のFW中野誠也(3年=磐田U-18)のゴールによって筑波大が2-1で勝った。筑波大は10年大会以来6年ぶりの4強入り。15日の準決勝で阪南大(関西1)と戦う。

 2回戦から中1日で開催された準々決勝。疲労を考慮した部分もあったか、序盤は互いに様子を見ながらの展開となった。中盤で相手の背中を取り合うようなシーンがあったものの、なかなかテンポアップしないまま時間が経過していく。その中で風上の関大は9分、カウンターから左SB黒川圭介(1年=大阪桐蔭高)が単騎持ち上がって左足シュート。また、推進力のあるFW竹下玲王(3年=磐田U-18)にボールを当てて、そこから相手の最終ラインを壊しにかかるが、「前にタレントがいるから泥臭く守るしかないと思っていた」という筑波大CB小笠原佳祐(2年=東福岡高)やCB鈴木大誠(2年=星稜高)に跳ね返されるなど、その回数を増やすまでには至らない。

 DF陣が押し込まれることなく、相手の攻撃に対応していた筑波大が徐々にゲームの流れを傾けていく。CB小笠原の素晴らしい軌道のキックでサイドを変え、U-19日本代表MF鈴木徳真(2年=前橋育英高)が相手の隙を逃さずにスペースへのパスで攻撃をスピードアップさせる。34分には右サイドでDFを外したMF西澤健太(2年=清水ユース)のクロスから中野がGK前川黛也(4年=広島皆実高、神戸内定)と接触しながらもヘディングシュート。37分には鈴木徳と中野のコンビで左サイドを切り崩し、最後はクロスにFW戸嶋祥郎(3年=市立浦和高)が飛び込んだ。

 後半立ち上がり、GK前川が1対1のピンチをストップした関大はギアを上げてシュートシーンを増やす。7分にはCB2人を強引に振り切った竹下が左足シュートを放つが、筑波大GK阿部航斗(1年=新潟U-18)がファインセーブ。関大はその後もサイドからの折り返しをMF塩谷仁(2年=磐田U-18)やMF藤村洋太(3年=京都橘高)がフィニッシュで終えていく。一方の筑波大もスペースを突いた中野がシュートへ持ち込むなどオープンな展開になり出した後半半ばの時間帯。筑波大はドリブル、パスワークで局面を打開していた一方、前半以上に圧力を感じるような展開となっていたが、小井土正亮監督が「ゼロで80分くらいまで。後ろの頑張りがゲームをつくってくれた」と評した守備陣に支えられて1点をもぎ取る。

 32分、中盤中央での個人技でDFを鮮やかに剥がした三笘がタイミング良く左前方へスルーパス。中野が中央へ戻したボールがこぼれ、これに走り込んでいた三笘がGKとの1対1から左足シュートをゴール右隅へ流し込んだ。初戦、2回戦といずれも逆転勝ちしていた関大が反撃するが、次の1点を奪ったのも筑波大だった。42分、戸嶋が右オープンスペースへ展開すると、これに反応した中野がカットインから左足を振り抜く。鮮やかな左足シュートがゴール左隅を破って2-0となった。

 関大は前川が「0-1の中で今までも逆転で勝ってきているっていう状況ですけれど、追加点取られたことが敗因になっているし、(自分が)DFをもうちょっとボールのところに寄って行かせたらシュートのところはなかった」と首を振る痛恨の2失点目。対して筑波大の鈴木徳は「後半も相手が出て来るかなというイメージだったので、その中で(ボールを)取ったところのスペースを突けばチャンスが来ると思っていたので、いい点の入り方だったと思います。綺麗に取れることはないかなと思っていたのでいい泥臭さがあったと思います」と表情を緩めた。2点ビハインドとなっても諦めずに攻める関大は48分、MF布施周士(4年=東京Vユース)の右アーリークロスを中央へ飛び込んだ竹下が頭でゴールネットを破り、1点差とする。さらに50分には中央の布施が右前方へ出した絶妙なラストパスで2回戦決勝点のMF平尾柊人(4年=福知山高)が抜け出す。そして切り返しから左足シュート。関大応援席が沸いたが、この一撃は枠右へ外れ、直後に試合終了となった。
 
 筑波大は小井土監督が「スタンドも含めて迫力がある。力を引き出してもらった」という関大を破ってベスト4進出。関東2部リーグに所属していた昨年は総理大臣杯優勝を逃した時点で出場する権利を失っていたインカレだが、今年は関東2位に入って出場権を獲得し、堂々の戦いぶりで準決勝進出を果たしている。明確な目標を持って戦うチームが醸し出している一体感。鈴木徳は「日本一を今年のシーズン目標としてやってきている。4年生が主体的にチームを引っ張ってくれているというのがあって、4年生がつくったものに僕らが付いて行っている。付いて行っているだけでなくてアクション起こして意見を言っていく。ゲームの中から外に関しても多いんじゃないかなと思います」と説明し、小笠原は「去年2部で戦えたことでステップアップの段階を踏んでられているので恐れることなく、チャレンジできている。みんなで(タイトルを)取りに行きたいです」と言い切った。次は関西王者・阪南大との準決勝。強敵をまた倒して、日本一への階段をまた一つ上る。

(取材・文 吉田太郎)
●第65回全日本大学選手権(インカレ)特集

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