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筑波の仲間に感謝。U-19代表MF鈴木徳真が進化確認するスーパーミドル!

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前半20分、筑波大はMF鈴木徳真が右足ミドルで先制ゴール

[12.15 全日本大学選手権準決勝 筑波大3-0阪南大 NACK]

「何回も言いますけれど、あそこまでの過程が良かったから」。スーパーミドルで先制点を叩き出した自身に対するコメントよりも、注目MFはまずシュートまでの形を作ってくれた仲間への感謝を繰り返した。

 前半20分、筑波大は左サイド深い位置からFW戸嶋祥郎(3年=市立浦和高)、MF吉田直矢(4年=川崎F U-18)とボールを繋ぐと、吉田の右斜め後方から走り込んだU-19日本代表MF鈴木徳真(2年=前橋育英高)が右足ミドル。ゴール右ポストを叩いたボールはそのままゴールラインを越えて先制点となった。

「本当に良いところにボールが転がってきましたし、本当に枠に飛ばすだけだったので。嬉しいですし、みんなに『ありがとう』という感じです」と鈴木。常にストイックに自分自身と向き合い、己を高め、試合後には自身への戒めの言葉を連発する彼が、満面の笑顔でベンチに向かって走り出す。仲間のおかげで奪うことのできたゴールであることを強調したが、一方で非常に嬉しいゴールであったことを明かしてくれた。

「気持ち良かった。ゴールは嬉しいですね。サッカー選手の一番のメインと言ったらおかしいかもしれないですけど、サッカーは点取って、勝つ競技なんで。そこの点取ってというところができたことは嬉しい」と再び笑み。それも全国準決勝という舞台、押し気味に試合を進められている展開の中で、難易度の高いシュートを狙って決めたことにまた価値がある。意識高く、日本一、世界一を争うような試合で活躍する選手を目指している鈴木にとって、このゴールは自身の進化を確認するゴールにもなったようだ。

「相手がちょうど(寄せて)来ていて、半分コース切られた状態だったので、アウト気味に当てながら振ればボールもそういう軌道なるのかなという感じで打った。あそこ(ギリギリのコース)に飛ばせたのも嬉しいというか、やってきたのもあると思うので。こういう舞台で出せるのは気持ちいいですし、自分のステップアップに繋がるというか、物差し、きっかけになる」

 ボール半分外側に外れていればゴールにはならなかっただろう。これまでならばそのようなシュートは外れていたかもしれない。だが、世代屈指のボランチは継続して「やってきたこと」を大舞台で発揮。前橋育英の主将を務めていた2年前の全国高校選手権準決勝の試合終了間際に決めた同点ゴールに続き、再び全国準決勝で決めたことを「もっていますね」と喜んでいたが、紙一重のところへ狙って決められたことゴールは、今後次のレベルを目指す上でも嬉しい一撃になった。

 それでも90分間のプレーについて満足することはない。「相手の状況見ながら回せなかったのは悔しい。ボランチとしてもそうですし、全体としてもそうですね」と唇を噛んだ。3-0で勝ったものの、前半はゲームをコントロールできず、押し込まれる中で守備の目立つ試合となった。その中でボール奪取の巧さ、小柄ながら空中戦での強さというストロングポイントを発揮したが、チームとして内容を高めることができなかった。

 それだけに決勝ではチームの良さを最大限引き出した上で、勝つことを目指す。「(個人としても)大舞台で結果残したいですけど、他の選手が出した上で、僕が出せるんだったら素晴らしい」。甘くはない、と感じている決勝。今大会、着実に進化をピッチで示している注目MFが仲間を活かし、自身も活躍して優勝を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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