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[MOM1968]米子北FW伊藤龍生(3年)_同点ヘッド!素材系ストライカーは厳しい言葉受けながら成長中

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貴重な同点ゴールを叩き出した米子北高FW伊藤龍生

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.16 高円宮杯プレミアリーグ参入戦1回戦 米子北高 3-1 東京Vユース コカ広島ス]

「インターハイもそうだけど、今年のチームは点を獲られても獲り返せる。本来は堅守速攻がメインのチームだけど、DFラインが確立されていない分、攻撃でリズムを作るのが今年なのかなと思う」。城市徳之総監督がそう評するように、今年の米子北高の特徴は勢いのある攻撃。1点獲られても2点、3点獲り返せるパワフルなアタックをけん引するのがエースFW伊藤龍生(3年)だ。

 180cmの大型ながらも、身のこなしが軽やかな好素材系のストライカーで、プリンスリーグ中国でもリーグ2位の15得点を記録したが、城市総監督が試合の度に手厳しい言葉を残すなど、まだまだ粗削りな部分が見えるのも確かだ。この日も前半は課題が見えた試合に。立ち上がりから個々のテクニックで上回る東京Vユースに主導権を握られ、前線からの守備に追われた結果、攻撃に切り替えても、パワーが残っておらず、「前半、相手に押される中で、FWの自分が前でボールをおさめることができず、チームに迷惑をかけてしまった。守備をしながらの攻撃もできないといけないのに、自分の課題が改めて分かった」と振り返るパフォーマンスに終わった。

 良さが表れたのは、「もう一回、気持ちを入れ替えて、頑張ろうと意識した」後半開始直後。2分に左CKを獲得すると、ニアにポジションをとった伊藤のもとに浮き球が飛んできた。バランスを崩しながらも、しっかり頭に当てた一撃がゴールネットを揺らした。「自分の持ち味はヘディング。あそこで決めなければ自分がいる意味がない。あそこで決められてよかった」と胸を撫で下ろした一撃で同点に追いつくと、攻撃の勢いが加速し、チームは2点を加えて逆転勝利。伊藤は後半17分にも自陣からのクリアボールを相手から奪い返し、左サイドからチャンスを演出するなど攻守両面で存在感を見せた。

 チームを勝利に導く活躍を見せた伊藤だが、城市総監督の評価は「プレーの連続性やアクションの精度がまだまだだし、今日も怒らないといけない。今までの選手は守備のところでもっと連続性を持ってやっていたし、今日も躊躇せずもう少し前に出ていれば、ゴールを奪えた場面があった」とこの日も厳しめ。ただ、「少しずつだけどよくなっていると思う」と最後に付け加えるあたりに彼に対する期待の大きさが改めて感じられる。

 伊藤自身も「宿舎に帰って反省したい」と口にするように、今日の出来には満足していない。「自分はプレミアでやりたかったので、去年上がれず悔しい想いをした。来年はプレミアで勝負できる環境を後輩に残したいので、次の試合も絶対に勝てるように足が攣るまで走りまくって、戦いたい」と意気込むように、次戦こそ指揮官も、自身も納得のいくプレーを見せて、後輩たちにプレミアリーグという置き土産をプレゼントするつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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