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[プレミアリーグ参入戦]米子北は自分の土俵でスタイル貫徹。札幌U-18を退け、プレミアへ

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米子北高は後半44分に奪った決勝点によってプレミアリーグ昇格

[12.18 高円宮杯プレミアリーグ参入戦2回戦 米子北高 1-0 札幌U-18 コカ・コーラウエスト広島スタジアム]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 プレミアリーグ参入戦は18日、勝者が17年プレミアリーグ参入の決まる2回戦が行われた。

 コカ・コーラウエスト広島スタジアムでの第1試合では、“初プレミア”を狙う米子北高(中国1、鳥取)と1年での復帰を目指すコンサドーレ札幌U-18(北海道)が激突。序盤からアグレッシブな姿勢を貫いた米子北が劇的な決勝点で1-0と快勝。来季プレミアリーグへの参入を決めた。

 序盤から攻勢に出たのは米子北。積極的に札幌の最終ライン裏を狙いながら、両翼を使いながら押し込んでいく。3分には右サイドの小橋亮介を使ったサイド攻撃から連続チャンス。FW伊藤龍生、MF崎山誉斗のシュートはいずれも札幌DFに防がれたものの、このプレーの後から米子北に続けざまの決定機が生まれる。10分には抜け出した崎山が、14分にはロングスローから伊藤が狙い、22分には再び伊藤の強烈なミドルシュートと、次々に札幌の大型GK櫻庭立樹を脅かすシーンを作り出す。

 もっとも、城市徳之総監督が試合後に「入らなかったねえ」と苦笑交じりに振り返ったように、いずれもゴールネットを揺らすには至らず。39分、40分にも絶好機があったが、GK櫻庭の好守もあってゴールには至らなかった。

 単発ミドル以外のチャンスがまるで作れなかった前半の札幌。FW菅大輝が「ポゼッションのサッカーを目指しているが、上手く自分たちのスタイルを出せなかった」と首をひねったように、荒れ気味のピッチコンディションも手伝ってイージーミスも目立ち、効果的なパス回しは観られなかった。米子北の城市総監督も「こちらがプレスへ行ったときに蹴ってくれたので、拾う、拾うの展開になってくれて、その展開ならウチに分があった」と振り返ったように、蹴り合い・拾い合いの展開ならば、そこは米子北の土俵だった。

 とはいえ、スコアは0-0。札幌に反撃の機運がなかったわけではない。後半からエンジンをかけ直し、FW菅のキープ力を生かしながら米子北を押し込みに掛かる。ボランチを経由してのパス展開がようやく機能し始めて後半の序盤を米子北に我慢の展開を強いることに成功した。

 ただ、伝統的に我慢の展開に強いのが米子北である。押し込みながら点を取れなかったストレスは「まあ、いつものことなので」(城市総監督)と笑って済ませつつ、「元から0-0か0-1でいいと思っていた」(MF山室昂輝)と割り切りながら試合を運んでいく。根拠は「ラスト15分でウチは落ちないけれど、相手は落ちる。終盤勝負になれば勝てると思っていた」(山室)。

 札幌は後半24分にFW山田優介が抜け出しての左足シュートを放つ絶好機があったものの、前半相手の土俵でサッカーをしてしまったダメージもあったのか、残り時間が減るごとにパワーダウン。30分過ぎから試合のペースは米子北へ傾いていく。

 30分に崎山のシュートがGK櫻庭を脅かし、33分には田中宏旺のクロスが流れてバーを叩く。そして迎えた44分、再び田中が入れたクロスボールに交代出場の“スーパーサブ”倉本峻汰がダイレクトボレーで鮮やかに合わせ、ついに均衡が崩れた。

 札幌はここまで踏ん張ってきた昇格内定の大型DF濱大耀も攻撃に加えて最後の反撃を試みるが、米子北もDF田中聡太を投入して「スイーパーを入れた守りの布陣」(城市総監督)にチェンジ。安定感のある守護神・中原創太を中心に残り時間をしっかりやり過ごし、そのまま完封。1-0の勝利で、来季プレミアリーグへの出場資格を見事に勝ち取ってみせた。

 大阪体育大の後輩・黒田剛監督率いる青森山田の高円宮杯チャンピオンシップ優勝に刺激を受けたと言う城市総監督は「ここまで来られたのは本当にビックリ」としつつ、「プレミアという舞台、いいチャンスをもらってチャレンジすることができるのは大きい」と、勝利の味を噛みしめていた。

(取材・文 川端暁彦)
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