beacon

和歌山北キャプテンMF和田は不発…「足を引っ張ってしまった」初戦敗退に涙

このエントリーをはてなブックマークに追加

初戦敗退に悔しさをにじませるMF和田広矢(3年)

[12.31 全国高校選手権1回戦 佐野日大高1-0和歌山北高 西が丘]

 最後の瞬間はベンチから見守った。1点ビハインドの後半33分、和歌山北高(和歌山)の主将MF和田広矢(3年)は左足の打撲で途中交代を告げられた。終了間際の猛攻も実らず、0ー1で無念の初戦敗退。「ずっと一緒にやってきた仲間が最後、ピッチで走ってるのをベンチから見ていたら、いろんな感情があふれ出してきた」。赤色のユニフォームに顔をうずめ、あふれ出る涙を何度もぬぐった。

 最後まで1点が遠かった。後半21分にはMF木村波生(3年)がファウルを誘い、ペナルティーアーク内でFKを獲得。絶好のチャンスでキッカーを務めたが、直接狙った右足シュートは相手選手のブロックに阻まれ、ゴールネットを揺らすことはできず。何度も右サイドをドリブルで駆け上がったが、しっかりとブロックをつくる相手の堅い守りに跳ね返され、ゴールをこじ開けることはできなかった。

「思うようなところでパスが受けられなかった。精神的に焦り、苛立ちもあって、我慢しきれなかった。(パスを)下がってもらいすぎた。仲間を信じてアクションを繰り返せば得点できたかもしれない」。試合を通して自身が放ったシュートはわずか1本。勝負どころを見極められず、攻撃を封じられた背番号10は「足を引っ張ってしまった」と自分を責めた。

 左足首の負傷に苦しんだ1年間だった。「今年はずっとケガで、フル出場をする試合が少なかった。10番をつけさせてもらっているので、その申し訳なさが常にあった」。今夏の総体決勝は近大和歌山高に0ー0(PK1ー4)で敗れたが、選手権予選決勝は1ー0勝利で雪辱を果たし、勝ち取った選手権の舞台。しかし、この試合でも思うようなプレーはできず、最後は負傷交代で不完全燃焼に終わった。

 充実の高校サッカー生活は幕を閉じた。中学3年時はJクラブの下部組織と高校サッカー、どちらにするか迷った。「高校サッカーを選んで、入学当初は環境や練習の質に不安があった。『こっちを選んで良かったのかな』という気持ちもあった」。それでも、2年時には地元・和歌山県で行われた紀の国わかやま国体で和歌山県選抜が初の3位に輝いた主軸として躍動し、大きな自信を得た。今年はケガで思うような活躍はできなかったが、この3年間に「後悔はない」と言い切った。

 “夢”へと続く次の舞台で悔しさを晴らす。4月からは大阪学院大でサッカーを続ける。「プロを目指す。高校で学んだことを生かして、大学でプロに近づいていけたら」。高校3年間での収穫を糧に、さらなる飛躍を誓った。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 佐藤亜希子)
▼関連リンク
【特設】高校選手権2016

TOP