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「ここで負けるはずじゃなかった……」8強敗退。FW安藤瑞季は長崎総附を強いチームにすること、プロになること誓う

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長崎総合科学大附高のU-19日本代表FW安藤瑞季。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[8.2 総体準々決勝 流通経済大柏高 2-1 長崎総合科学大附高 ひとめぼれスタジアム宮城]

 準々決勝敗退が決まると、大会最注目のストライカーは腰に手を当てたまま俯いたり、天を仰ぐような仕草を見せたり、敗戦を整理できないでいるように映った。

「(ベスト)8で終わったことは悔しいというか、涙は全然出なくて、やりきれた感はなかったですし、ここで負けるはずじゃなかった。もっと上に行けたと思う」。長崎総合科学大附高の代表選手として出場しているからにはやってはいけないプレーがあると考えている。そのミスが出てしまっての敗戦をU-19日本代表FW安藤瑞季(3年)は残念がり、次に繋げなければといけないと感じていた。

 安藤にとってこの流通経済大柏高戦の70分間は、今大会でベストのパフォーマンスだったという。真っ向から立ち向かってくる下級生の逸材CB関川郁万(2年)の前に身体を入れてボールを収め、スペースを力強く抜け出す動きも見せた。

 そして後半14分には右DF岩本蓮太(3年)のロングスローを左足ダイレクトで合わせて先制ゴール。緊迫した試合の中で1点を叩き出した安藤はその後も関川にファウル覚悟のディフェンスをさせてFKを獲得するなどマッチアップで優位に立っていた。「郁万とかいて本当に負けたくないという気持ちで、自分を奮い立たせて戦えたことは大きかった」と安藤。強敵相手に闘志を燃やし、存在感あるプレーを見せたが、チームはミスから逆転負けし、安藤のインターハイは4試合3得点で幕を閉じた。

 選手権へ向けて課題が出た。小嶺忠敏監督はチームの課題について「個で剥がされた時に狂う」とドリブルを得意にするチームへの対応と、選手層を厚くする必要性を口にしていたが、安藤は「強いチームはこういうところで負けないと思う。前橋育英を見ても、強いチームは(競り勝って)勝ち上がって残っていくんだなと思うし、今年のチームは強いチームになれると思っているので、夏場がヤマ場だと思う。チームも、自分も上を目指して、(自分自身は)プロになりたいという気持ちは強いので毎日それを燃やしてやっていきたい」と全員で強いチームになること、そして個人の目標としてプロ入りを勝ち取ることを掲げた。

 注目の進路については今後、家族、小嶺監督を交えて話し、まずは進学するのか、それともプロ入りをするのか方向性を決める模様。小嶺監督は安藤について九州の大学チーム相手でもフィジカル面ではほぼ負けないレベルにあることを認める一方で、このままでは「壁にぶち当たる」ということを指摘していた。

 小嶺監督から改めて「まだまだイージーミスが多すぎる。このクラスでボールをなくしたらいけない」と課題を突きつけられていたことを聞いた安藤は、「失わないことはFWとして一番大事だと思うので練習していく。自分、足元で受けるよりも裏へ抜ける方が得意なんですけど、マイナスの部分を少しでもプラスに持っていけるように、努力していかなければいけない」と課題を克服することを誓う。

 チーム、個人で現在よりももっともっと、レベルアップを果たすこと。自身のプロで活躍するという夢と、チームの日本一という目標の両方を達成するだけに十分の努力をこの夏、やり通す。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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