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[プリンスリーグ中国]3度の県外遠征実施した夏休みが転機に。状態上向きの玉野光南が立正大淞南撃破!

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玉野光南高FW出原稜太は積極的な飛び出しで好機を演出し、決勝点

[8.19 高円宮杯プリンスリーグ中国第10節 玉野光南高 1-0 立正大淞南高 政田サッカー場]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プリンスリーグ中国第10節が、19日に各地で行われ、5位・玉野光南高(岡山)と4位・立正大淞南高(島根)が対戦。後半16分にFW出原稜太(3年)が決めた1点を守り切った玉野光南が1-0で勝利した。

 選手権出場に向けて、リスタートを切った玉野光南が貴重な勝ち点3を手にした。後期初戦となったこの日は、MF朝原康平(3年)が「今日の試合に勝てば、残留に近づくし、プレミア参入戦も見えるので、全員で勝ちに拘ろうと話していた」と口にしたように、選手の気合は十分。前半2分に、左サイドを抜け出した出原のパスから、右サイドのMF後藤隆一(2年)がシュートを放つなど試合開始と共に勢いよく立正大淞南のゴールに迫った。

 しかし、この好スタートが以降の試合運びを難しくしてしまう。「攻撃的な立正大淞南と殴り合いをするつもりはなかった。守備を引き締めて試合に挑むつもりが、思いのほか最初にチャンスを作れたのは想定外だった」。乙倉健二監督がそう振り返ったように、攻勢を強めた分、守備意識が手薄となり、15分には立正大淞南MF河岸真太朗(3年)にポスト直撃弾を許すなど失点してもおかしくない場面が散見。玉野光南も、朝原を中心としたボール回しから、MF高木凌(3年)や出原の突破を引き出すなど、どちらに転んでもおかしくない流れとなったが、両者ゴールネットを揺らせないまま、試合を折り返した。

 後半も一進一退の展開が続く中、後半4分には玉野光南にビッグチャンスが到来。中盤からのスルーパスに出原が反応し、GKと1対1の場面を迎えたが、シュートはゴール左隅に逸れた。16分に訪れた後半2度目のチャンスも同じシチュエーションから。2列目でボールを持ったMF高松翔真(3年)が縦パスを通すと、再び出原が前線で反応。「良い身体の向きを作れたことと、トラップで相手を外すことができたので良かった」というファーストタッチで、ゴール前を上手く抜け出すと、今度のシュートはゴール左隅に突き刺さった。

「たまにやる気がない時もあるけど、やる時はやってくれる頼もしい選手」。そう朝原が評する男の一撃によって玉野光南が均衡を崩すと、ここからは立正大淞南の反撃を受ける時間帯もあったが、守備陣がきっちり対処し、逃げ切りに成功。朝原が「再開初戦で勝てたのは、次に繋がるし、勢いに乗れると思う」と口するにするように、価値のある一勝を手にした。

 2月に行った県の新人戦は準決勝で倉敷翠松高に敗戦。インターハイは県予選の決勝で岡山学芸館高に敗れた玉野光南だが、選手権に向けて少しずつ調子を上げつつある。転機となったのは、3度の県外遠征をこなし、多くの強豪と対戦した夏休み。特に茨城遠征で対峙した鹿島ユースとの試合では、県では味わえないパススピードと球際の強さを味わい、選手の意識が変わったという。

 また、課題として決定力不足が改めて露呈したことも収穫と言える。この日も、もっと点を獲るチャンスがあったのは確かだが、チーム全体の得点に対する意欲が垣間見えた。個人としても出原が「何本か良い形で抜けられるシーンがあった。夏休みの成果が出てきているのかなと思う」と話すように変化が見られる点も収穫だ。

 朝原が「全国は遠くないと思うけど、インターハイはあと一歩足りなかった。選手権では、そこをどう勝ちに変えられるか突き詰めて、頑張りたいし、全国に出るだけでなく、全国で勝てるチームを目指したい」と話すように、今後はより細部まで突き詰め、2年ぶりの晴れ舞台を手にするつもりだ。

(取材・文 森田将義)
●2017 プリンスリーグ中国

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